オルホン県地域診断治療センター(RDTC)の指導医の能力強化を目的とした研修が実施されました

2019年11月22日

11月14日、オルホン県地域診断治療センター(RDTC)において、指導医の能力強化を目的とした研修が開かれました。これまで幾度となく、このプロジェクトニュースにおいて、オルホンRDTCについては紹介してきました。最近のものでは、今年の9月、当プロジェクトが導入に関与した新人医師のための総合診療研修の第一期生の4人の研修医が、1年間の研修を終了し、修了式を迎えたこと(2019年9月27日付けプロジェクトニュース参照)、そして10月には、第二期生として新たに新人医師5人が、総合診療研修を開始したことを報告しました(2019年10月14日付けプロジェクトニュース参照)。

今回の指導医向けの研修は、指導医の指導能力開発の支援と2年目を迎えた総合診療研修の研修内容の理解を深めることを目的に開かれました。Batsukh院長をはじめ、副院長、研修部長の他、指導医24人が出席しました。

第2期生5人の研修が開始されてからひと月経過したこのタイミングで、指導医向けの研修が開催されたことには大きな意味がありました。研修医が1年をかけてローテーションする4つの診療科(内科、小児科、産科、救急医療)のスケジュールは適切か、組まれているプログラムの内容は十分であるかについて、初年度の内容が検証され、検証を元にすでに改良がなされたことが報告されました。参加した指導医たちは、改良されたポイントを知ることで、より深く総合診療研修に対する理解を深めることができました。

また今回の研修には、RDTC内にある当プロジェクト・サテライト事務所のアシスタント、Enkhjargalも出席し、「指導医向け評価マニュアルの内容」、また「講義資料の作成・準備の仕方」についてプレゼンテーションを行いました。プロジェクトはカリキュラムだけでなく、研修医を評価する評価ツールの開発も支援しました。総合診療研修では、一度開始されたらあとは研修の終了まで、ただ見守るのではなく、研修医の知識、手技の習得レベルを評価し、評価に基づいて、きめ細かな研修スケジュールの修正が行われています。ですので、研修医を適切に評価し、目指すべき目標に到達できるようにアドバイスする指導医の役割もとても重要です。

研修のほか、集まった指導医たちにより会議が行われ、総合診療研修を行うRDTCの新しいネーミングとして、RDTCの名称にTeaching Hospital(研修病院の意)を追加し、RDTCの看板を付け替える案が出され承認されました。これは、ここオルホンRDTCで研修を受ける研修医や、指導する指導医の意識向上につながり、また来院される患者やその家族にとっては、病院に寄せるイメージや信頼度アップにつながる効果を期待してのものです。そして、総合診療研修のさらなる改良、講義教材の開発などに向けて検討を続けていくことが確認されました。

最後にBatsukh院長より、この9月に終了した第1回総合医療研修についての総括が行われました。その中でセンター長は、モンゴルで初めての総合医療研修が、大きな成功を持って終了したことが報告されました。そこにはJICA卒後研修プロジェクトの大きな支援があったこと、そして、この研修実施に関わった全ての方々に対して、感謝の言葉が述べられました。さらに出席した指導医に対しては、さらなる実習を積み、お互い切磋琢磨し、技術を高めていくよう言葉がかけられました。

2期目の総合診療研修は順調なスタートを切りましたが、第1回研修を実施した経験と実績があり、それがRDTC院長はじめ、スタッフの大きな自信となっているようにも映ります。そしてオルホン県RDTCが単にプロジェクトのモデル施設となっているだけでなく、モンゴル国の全ての研修病院のモデルになりつつあることがよくわかります。プロジェクトは、オルホン県地域診断治療センター(RDTC)が、研修病院のリーダー的立場になることができるよう、残された活動期間続けて支援してまいります。

卒後研修プロジェクト
オルホンサテライト事務所アシスタント Enkhjargal
チーフアドバイザー 井上信明
業務調整 大熊 浩

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プロジェクトアシスタントN.Enkhjargalの発表

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Batsukh院長の講義