サステナビリティ・レポートにおける田中理事長のメッセージ

2023.11.27

~持続可能な世界の実現に向けて~

近年、世界情勢が急速に変化していく中、気候変動や自然資源の損失、経済格差の拡大、紛争の発生・長期化等が同時並行で発生し、深刻さを増しています。2023年6月~8月の期間、世界の平均気温は記録のある1940年以降最も高い値となりました。このような気候変動の影響を始め、多くの人々が実感を持って地球規模課題を身近に感じているかと思います。とりわけ、複合的な危機下では、脆弱な立場におかれている途上国の人々がより深刻な影響を受けます。2030年を期限とする持続可能な開発目標(SDGs)の達成が真に危ぶまれる今、将来世代に持続可能な社会を継承するために、一層サステナビリティの推進に取り組んでいく必要があります。

JICAは、新しい開発協力大綱の下、すべての人々が恐怖と欠乏から免れ、尊厳を全うすることができる「人間の安全保障」をJICA事業に通底する理念とし、自然環境を損なうことなく格差の少ない持続的な「質の高い成長」の実現を目指しています。世界139ヶ国・地域(2022年度)を対象に日本の開発協力を実施する機関として、幅広い課題に取り組むJICAが担うサステナビリティ推進の役割は、極めて大きいと考えています。

JICAは、その役割を最大限果たすために、世界の動向を取り入れながら組織のあり方を柔軟に見直し、たゆまぬ変革に取り組んでいきます。その一歩として、この一年間でサステナビリティ委員会やサステナビリティ推進室を設置し、組織体制を強化しています。あわせて、「JICAサステナビリティ方針」を策定し、2030年までに組織のカーボンニュートラルを達成し、全新規事業をパリ協定に整合する形で実施するなど、具体的な目標を掲げました。このサステナビリティ・レポートを通し、定量的なデータとともに目標達成状況や取り組みをしっかりと皆様にお伝えし、さまざまなパートナーとの対話を一層強化していきたいと思います。

JICAにとって、サステナビリティへの取り組みは、JICAのミッションへの取り組みそのものです。JICAのビジョンである「信頼で世界をつなぐ」の下、未来を見据え、開発途上国と寄り添って築き上げてきた信頼関係を発展させながら、持続可能な世界の実現に取り組んでいきます。

2023年11月
独立行政法人国際協力機構
理事長
田中明彦

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