【教師海外研修 帰国後研修】ナミビアでの学びを子どもたちに伝えるために

2023.10.19

 9月2日(土)、3日(日)の2日間、JICA中国・四国の教師海外研修の帰国後研修を実施しました。
 ナミビアから帰国して約2週間、まずは海外研修のふり返りからスタートしました。各自が渡航前にイメージしていたナミビアの印象と実際に見聞きしたことが同じだった点、違った点、今も分からない点をその理由とともに付箋に書き出してもらいました。貧困ではなく格差を痛感したこと、格差が目に見えることへの驚き、母語と公用語である英語での教育についてなど、現地に行ったからこそ見えてきたナミビアという国の現状や課題を、改めて整理していきました。

たくさんの情報、想いをどう整理するか

 その後、二人のゲスト講師にお越しいただきました。
 2016年教師海外研修に参加された広島県の中村祐哉先生は、「自分自身の海外経験は『固形物』。中身の濃い経験だからこそ『固形物』(国の話)をそのまま伝えたくなるが、それでは現地に行かないと授業ができなくなってしまう。『固形物』を溶かして伝えることが『還元』。」と自身の体験を学校現場に活かすことを分かりやすく表現してくれました。そして、「溶かすために必要な『マドラー』は、JICAの開発教育研修など外部リソースであり、それらの活用が継続的な還元を促進してくれる。」と、海外研修参加から7年経った今も教科・単元の中で海外研修の気づきを取り入れていることを事例をまじえてお話しくださいました。
 2019年教師海外研修に参加された愛媛県の愛光中学・高等学校の松下直樹先生は帰国後、渡航国であるラオスで得た沢山の情報を整理しきれず、現地での豊富な経験と自分が発信したいことでいっぱいになり、目の前の生徒の存在を後回しで授業を考えてしまった、と率直にお話しくださいました。その後、生徒の生活環境や進路を踏まえ、現地で出会ったJICA海外協力隊員の協力を得て1つのテーマで10時間をかけて実施した授業について紹介してくれました。また、ICTを活用してコロナ禍でも学びを止めなかったこと、地理教員として国際・開発教育といった枠にとらわれない取り組みをしてきたことを、生徒の反応なども交えてお話しくださいました。

 その後、講師お二人にも参加頂き、参加者それぞれが検討した授業実践案を、校種ごとに分かれて共有、意見交換を行いました。
 教師海外研修の目的は、渡航先で見聞きしたことを授業や学校活動を通して児童生徒に伝えることです。ナミビアをレポートするのではなく、ナミビアの歴史や現状を通じて子どもたちに何を伝え、考えさせたいか、そのためにどのような手法や素材が適切か、過年度参加者も交えてお互い助言やアドバイスを行いました。

ナミビア現地研修のふり返り

中村祐哉先生の授業報告

松下直樹先生の実践発表

ナミビアを通して、子どもたちになにを伝えるか

 2日目は、ナミビアにもご同行頂いた教師海外研修アドバイザーの山中信幸先生が、帰国後に作成されたワークショップを体験しました。同じ人に会い、同じ風景を見てもそれぞれ感じ方や印象に残る点は異なり、どんなテーマを授業で扱うかも違います。また、同じテーマで授業を行うにしても、子どもの年齢や発達段階によっても、言葉の使い方や文字と写真のバランスなど、作成する学習材も大きく変わってきます。このワークショップを自分の学校の子どもたちが行ったら、をイメージして参考にしながら、学習プログラムや授業づくりを再考していきました。
 ナミビアでたくさんの想いと情報を得た中四国の10名の先生方には、今後それぞれの地域で授業実践や学校活動を展開していただきます。

ゲスト講師とともに授業案を検討中

参加型でナミビアでの学びをふり返りました

山中信幸先生作成のワークショップを体験

関連リンク:教師海外研修

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