ナミビアでの学びを教室へ-教師海外研修報告会・第2回国際教育研修会-

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SDGs
#17 パートナーシップで目標を達成しよう
SDGs

2024.01.27

教師海外研修参加者による授業実践報告会

1月27日(土)、JICA中国・四国教師海外研修の授業実践報告会を行いました。8月にナミビアを訪れた10名の先生方は帰国後、現地で見聞きしたこと、考えたことをもとにそれぞれの学校で授業を行っています。その内容を全員で報告しました。
ナミビアでは同じ場所を訪問し、同じ人に会って同じ話を聞いていても、それぞれの感じ方や想いは様々でした。だからこそ、その成果である授業も多様でした。ある先生は道徳で、国際理解をテーマに絡めて授業を作られました。また、ALT(Assistant Language Teacherの略:「外国語指導助手」)とペアで授業を行った英語の先生は、多民族国家ナミビアの特長を解説しつつALT自身が来日後に体験したことも事例にまじえて、多様性を尊重できる社会についての授業を展開されました。ナミビアでジャンベ(アフリカ伝統の太鼓)を購入された先生は、音楽から異文化に触れる授業を行い、そののちに開催された音楽フェスティバルでは、複数の学年の児童がアフリカにつながる曲を演奏したそうです。
JICAの教師海外研修の醍醐味は、普段なかなか接する機会のない異なる校種や教科の先生方が現地で一緒に行動し、毎日のふり返りで感想や意見を交わすことで、参加者間での学び合いが深まることにあります。この日全員の授業実践を共有できたことで、今後の取組みや還元の形についてまた多くのヒントや気づきを得られたようでした。

ナミビアでの学びを大人にも、地域にも!

翌1月28日(日)、岡山国際交流センターで「第2回国際教育研修会」を開催しました。この日は岡山はもちろん、中四国の国際教育や異文化理解、国際協力に関心のある方を対象に、一般公開型で行いました。日曜にもかかわらず、学生、教員、民間企業にお勤めの方やJICA海外協力隊経験者など、30名の方がご参加くださいました。
まずはじめに、6名の先生方がナミビア研修の報告をしました。海外研修で訪問した場所やナミビアの概要などを説明して頂きましたが、実はこの時間ですでに仕掛けがありました。

参加者にもナミビアを通して開発途上国の課題や外国と日本のつながりを考えて頂くため、研修会は模擬授業形式で行われました。最初に登壇された小豆島町立苗羽小学校の阪倉順子先生は、現地で撮影した写真やダチョウの卵などナミビアで入手した現物を使い、ナミビアを知り、ポジティブにとらえる時間を提供してくれました。また、JICA作成の「『生きる力』を育む国際理解教育実践資料集」を使って、日本とアフリカが日常生活でもつながっていることを知るアクティビティも展開してくださいました。

中学校の部では、山口県下関市立夢が丘中学校の島田修司先生と、愛媛県松前町立岡田中学校の寺田美優先生がペアでワークショップを進めてくれました。島田先生は英語科、寺田先生は社会科と担当教科は異なりますが、それぞれの所属校で、社会科の地理の中で授業実践をされており、この時間もそれぞれの専門を生かしつつ二人で進行してくれました。
「私たち教員は、生徒にいつも『これ、前に習ったよね?覚えてるよね?』と日々聞いています。今日は皆さんにそれを言うところから始めます。最初の研修報告の内容、覚えてますよね?!」
この時間は、収入格差が著しく、失業率の高さが深刻な課題になっているナミビアの経済を発展させるためのプロジェクトを考えよう、という内容でした。そしてそれを考えるための材料となるナミビアの地形や隣国との関係性、主要産業や課題が、冒頭の研修報告でしっかり説明されていたのでした。寺田先生の言葉にハッとなった参加者は、「学生時代を思い出すね…」と笑いながら、グループでプロジェクト案を考えていきました。

高校の部で模擬授業を展開してくれた鳥取県立米子東高等学校の藤原孝夫先生は、日本史がご専門。ナミビアでの学びを活かした授業も、日本史の中で実践されたそうです。そしてこの日は「桃太郎は善ですか?悪ですか?」という問いから始まりました。桃太郎とナミビアにどんな関係があるの?それがどうして日本史の授業につながるの?と困惑しながらも興味深く話を聞き、グループで意見交換を進めていく中で、桃太郎に似た世界と日本の歴史に気づかされました。アフリカ諸国を植民地とした欧州各国のこと、北海道を開拓することでアイヌの人々の伝統文化が失われていった日本の歴史など、藤原先生の解説と様々な写真から、世界と日本の横のつながり、そして歴史という時間のつながりも考えたワークショップとなりました。

2023年度教師海外研修はこの日ですべてのプログラムを終了しましたが、ご参加下さった先生方がナミビアで学ばれたことは色あせることはないでしょう。これからも学校、地域で世界と日本をつなぐご活躍を期待しています!

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