【教師海外研修 授業実践】下関市立夢が丘中学校

#4 質の高い教育をみんなに
SDGs
#17 パートナーシップで目標を達成しよう
SDGs

2023.12.05

 山口県下関市立夢が丘中学校の島田修司先生は、2023年度JICA教師海外研修に参加され、ナミビアを訪問しました。これまで、全校集会や掲示物などで日々現地での学びを発信されてきましたが、2023年12月5日(火)には、ナミビアを題材にした2つの授業を実践されました。

地理から考えるナミビア-社会科の先生とのコラボ-

 社会科の授業ですが、島田先生は英語でスタート。英語科の教員だから、というだけでなく「ナミビアの公用語は英語。小学4年生からはすべての授業が英語で進められる。だからそれについていけない子どもは、小学校のうちから落第があり、途中でドロップアウトしてしまう子もいるんだよ」と、外国語で教科を学習する困難さを少しでも実感してもらうためでした。その後、島田先生は現地で撮影した街や校舎、子どもの写真を見せながらナミビアの諸問題を伝えたのち、生徒へ問いかけました。「あなたがナミビアの大統領だったら、この国を豊かにするために何をする?」。
 ここからは、社会科を担当する吉村先生にバトンタッチです。生徒はこれまで地理の授業で、アフリカ地域の気候や資源、歴史や欧州とのつながり、国境の特徴や多民族・多言語社会であることなどを学習してきました。また、他の地域の現状や各国の特長的な経済政策についても学んできました。それらの知識と情報をふり返り、手元にある地図帳、教科書も駆使して、経済格差や雇用といったナミビアが抱える課題をどう解決するか、個人作業とグループワークを通じて考えていきました。

道徳で考えるナミビア-先人が伝える国際協力の視点から-

 担任する2年1組の道徳の授業でも、島田先生はナミビアの現状と課題を伝え、生徒に「ナミビアの課題解決に日本ができることは?」と問いました。生徒が各自考え始めようとしたところで、島田先生は言いました。「全校集会で同じ質問をしたとき、『募金』って声が上がったよね?実際この中に募金した人がいますか?簡単に見えるその方法は、果たして現実的なんだろうか。そして、道徳で学んだ西岡さんの言葉を思い出そう」。
 JICAの前進である海外技術協力事業団の専門家としてブータンに派遣され、現地で農業指導を行った故西岡京治さんは「国際協力とは一時的な物の援助であってはならない」と述べたといいます。道徳の教科書に出てくるこの言葉をふまえて、生徒は一人一人国際協力とはなにか、日本ができることはなにか、を考えていきました。

 島田先生は、ナミビアで見たもの、感じたことを生徒の日常である教科学習に取り入れました。教師海外研修での自身の知見を特別なものとして発信するのではなく、生徒がこれまで学んだことをふりかえり、ナミビアという1つの国の事例を通じて開発途上国が抱える課題を実感し、日本に何ができるのか、を生徒と一緒に考えられていました。先人から学び、他国を知り、自分の足元をみつめる。時間も世界もつながっていることを強く感じさせてくれる授業でした。

チームティーチングで授業を進める社会科の吉村先生

これまでの学習をふり返り、ナミビアの課題を考えます

島田先生が作成した「ナミビアコーナー」

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