2023年度「神戸大学連携国際協力連続セミナー in JICA関西」を実施しました。
2024.01.15
本セミナーでは、関西地域で活躍している大学(研究者)、市民社会(NGO)、民間企業という異なるセクターから講師をお招きし、アジア・アフリカ地域の開発や国際協力についてお話しいただきました。全3回のセミナーに延べ50名を越える参加者があり、活発な質疑が行われました。また、終了後も個別に講師に質問される方も多くいらっしゃいました。
教育開発に従事する国連機関として、ユネスコ(UNESCO)は政策提言や教育統計等を担う機関で、ユニセフ(Unicef)は政策提言だけでなくむしろ現場で支援活動を行う機関である等、その役割やアプローチの違いについてわかりやすく教えていただきました。また世界銀行もこの分野の事業を行っていることを解説していただきました。
講義のなかで小川氏は、ミレニアム開発目標(MDGs)により開発途上国の就学率は改善された一方で、「教育の質」はまだ解決すべき多くの課題があり、継続的な支援が必要であること、教育経済学の視点から、事業効果を上げるためには適切な統計データを使い「費用対効果」の分析が重要であることなどを指摘されていました。
NGOの歴史・現状を解説いただきました。NGOは、直接的な支援活動だけではなく、団体間のネットワーク支援や政策提言活動など、さまざまな活動を行う団体があり、近年は市民社会団体(Civil Society Organization: CSO)として、行政・企業・研究機関・コミュニティ(家族)を結びつける役割も期待されているとのことでした。
後半は、NGOの活動事例としてテラ・ルネッサンス(京都市)による元子ども兵の社会復帰や紛争地域における生活支援について教えていただきました。写真や動画からは、紛争によって家族や家・農地を失った人たちや、子ども兵だった記憶を抱えながら一所懸命に生きている人たちの姿が伝わってきました。
石光商事が関わったエチオピアの残留農薬問題、ルワンダ・コーヒープロジェクト、タイ王室プロジェクトを紹介いただきました。
エチオピアの残留農薬問題では、現地で原因を特定、解決策を提示したことにより、状況は劇的に改善させることができたとのことでした。事態を重く見たエチオピア政府は、農薬の使用禁止に踏み切ったそうですが、実は、危険な農薬でもエチオピアではマラリア撲滅のためにあえて使用されている状況があるとのことで、農薬使用禁止によりマラリア対策に影響したのではないかとの憂慮も示されました。日本の消費者には、なかなかそのような情報が届かず「知る」ことが重要であると指摘されました。
【第1回】
今回のセミナーでは、大学(研究者)、市民社会(NGO)、民間(経営者)というさまざまな視点から国際協力や途上国支援について学んでいただく場を提供させていただきました。JICAのような政府系機関や国連機関等では手が届かない支援やよりスピード感のある支援等、お互いの得意分野を活かし、弱いところは補完し合いながら、SDGsの達成や持続的に発展できる社会の実現に向けて協働していくことが重要となっています。
またこのような機会を設けていきたいと思いますので、ぜひ皆様お楽しみに。
scroll