世界のなかの日本と私たちーJICA海外協力隊に聞こう!(「神戸市×JICA関西 国際教育モデル」実践授業in神戸市大開小学校)

2024.04.11

2024年2月、兵庫県にある神戸市立大開小学校6年生の社会科「世界のなかの日本と私たち」の単元内で「JICA海外協力隊に聞こう」をテーマとした授業が実施されました。

JICA関西と神戸市教育委員会は2007年から連携覚書を締結しており、2023年からは、2者連携に基づく「神戸市×JICA関西 国際教育モデル」と称した授業実践を通じた教材開発を行っています 。
今回、神戸市の大開小学校で行なわれた授業は、同モデルを通じて、「国際協力出前講座」として実施されたものです。

授業を見学したJICA関西インターン生が、その様子をお届けします。

JICA海外協力隊経験者7人が自身の経験と学びを出前講座として児童に発信

ネパール、コスタリカ、ガーナ、ベリーズ、パラグアイ、インド、ザンビアで活動した、計7人のJICA海外協力隊(以下、協力隊)経験者を講師として、開発途上国の現状、国際協力の現場を紹介する授業を行いました。
各国での活動経験を踏まえ講師たちがどのような授業を行ったかを紹介します。

【パラグアイ:算数を分かりやすく教えるお手伝い】
講師は協力隊員として派遣される前にペルーで在外公館派遣員として働いた経験があり、何か南米に恩返しがしたいと考えていたそうです。学校教員として実務経験を積み、パラグアイに「算数教育」という職種で派遣されました。

パラグアイに到着した際、想像していたよりも発展した国と感じ、自分に何の支援ができるのか?と戸惑ったそうです。しかし、現地配属先の学校で児童らの算数のテスト結果を見て、三角形の面積を求められる人が極端に少ない等、基礎学力のばらつきに気づいたそうです。そこで隊員自身で教材を作成することや、子ども目線になって子どもたちとコミュニケーションを取りながら活動を行い、結果、現地配属校児童の算数の成績が大きく伸びたそうです。

パラグアイの授業の様子

授業では、日本と異なるパラグアイの学校生活の相違点についても説明されました。例えばパラグアイでは、雨が降ると登校しない子どもたちが多く見られます。これは、家が学校から遠いため、雨で道路状況が悪くなった中で、登校するのに道が危ないからなどの理由もあるそうです。また、学校の授業時間も日本とは異なります。「パラグアイの学校は2部制で、朝の11時に授業が終わる」ということを聞いた大開小学校の児童たちからは、驚きと「いいな~」という声が上がりました。講師のお話から、自分たちと同じ学校に通う子どもたちの生活一つをとっても、日本とパラグアイでは大きく制度や習慣が異なることを知る機会となりました。

【ガーナ:学校に保健室を作る活動】

ガーナに「学校保健」という職種で派遣された経験を持つ講師はアフリカのスカートをまとって登場。生地を見せながらアフリカ特有の模様やデザインを紹介することから始まりました。
同講師は、ヨルダンに協力隊員として派遣された大学の先輩との出会いから協力隊に関心を持ち、また養護教諭として働く中で学校保健という海外協力隊の職種を見つけ、応募に至ったそうです。

児童たちはガーナ産のチョコレートを見たり、ガーナの料理、国旗クイズに興味津々でわくわくした目をしながら聞いていました。
また、学校の写真を見せながらの「このガーナの子どもたちの学校を見て、皆どう思う?」という講師の問いかけに対して、児童たちからは、「机が足りていない!」といった声が聞こえていました。
これを受け講師からは、ガーナの子どもたちは、日本と違い、机を複数名で共有するため、机の数にはこだわらない、書くことさえできればどこででも勉強できるなどの説明がなされました。このように、勉強のやり方一つをとっても世界の状況は様々であり、その背景には様々な理由や考えがあるため、世界と関わる際には自分(日本)を基準として考えるのではなく、広い視野を持ち、相手が大切にしていることは自分も大切にすることが重要、というメッセージが児童たちに伝えられました

ガーナの授業を聞く児童たち

その他にも、「インドでは、異なる文化を持つ人同士のかかわり方や、文化の違いに優劣はないことを学んだ」、「コスタリカでは自分の幸せについて自分自身で考えるきっかけを得た」、「ザンビアでは困っている人を助けることは当たり前であることを素敵に感じた」、「ベリーズでは日本の強みを改めて感じた」「ネパールで日本と異なる文化風習の背景について考えを巡らせる重要性を知った」等、海外で活動をしてきた協力隊の講師ならではの熱い言葉を児童たちは真剣な目で聞いてくれていました。

ベリーズの授業を聞く児童たち

世界へ飛び出した時に、これまでの自分自身が話していた言語や身を置いていた環境の壁を超えて、まったく異なる背景を持つ人とどのように関わり、行動するのか。日本から遠く離れた国で2年間という長い期間活動を行われてきた講師らが体験を語る姿は、児童たちにとてもかっこよく映ると共に、世界と自分のかかわりを考える時間になったのではないかと思います。

今回の授業が、児童たちが今後の自分の人生と向き合い、視野、選択を広げるための第一歩になったと信じています。

(JICA関西・市民参加協力課インターン 木山七海)

参考リンク
JICA関西国際協力出前講座
https://www.jica.go.jp/Resource/kansai/enterprise/kaihatsu/demae/index.html

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