田中理事長がブラジルとパラグアイを訪問

2023.06.30

田中明彦JICA理事長は、6月10日から22日にかけて、ブラジル連邦共和国とパラグアイ共和国を訪れました。ブラジルでは日本移民115周年を迎えた日系関連行事への参加や日系団体との意見交換、アルキミン副大統領をはじめとする政府要人との会談、海外投融資セミナーへの参加、JICAチェア(サンパウロ大学)及びブラジル外交官養成学校での講義、アグロフォレストリー事業の視察を行いました。パラグアイでは現大統領・次期大統領を始めとする政府要人との会談や日系団体との意見交換を行い、宇宙開発事業の討議議事録署名式に立会いました。また、それぞれの国においてJICAの事業を視察しました。

1.ブラジル連邦共和国
田中理事長は、首都ブラジリアでブラジル連邦議会のブラジル日本移民特別セッション及びブラジル外務省主催日本移民115周年式典に参加しました。両スピーチでは、同国における日系社会の活躍を高く評価した上で、ボランティアや研修事業を通じた人材育成、フジタ・ニノミヤチェアを始めとする学術交流、気候変動や食料安全保障、防災等の開発課題への協力により、今後ともさらなる日伯関係の強化に貢献したいと述べました。また、サンパウロ、ベレン、トメアスで各地の日系団体との意見交換を行いました。トメアスでは日系人が成功させた持続可能なアグロフォレストリー農場やJICA助成金により建設・拡張を行った果実を加工するジュース工場を視察しました。

続いて、田中理事長は、アルキミン副大統領との会談で、両国が気候変動対策、環境保全、食料安全保障といった地球規模課題に取り組む重要なパートナーであることを互いに確認しました。ファバロ農務大臣とは森林伐採を伴わない持続的な農業について意見交換し、2025年に第30回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP30)を開催予定のパラ州ベレン市では、COP30に向けた持続可能なアグロフォレストリーの推進について知事と意見交換を行いました。

さらに、「複合的危機下の国際関係~日本の視点~」をテーマに、サンパウロ大学でのJICAチェア特別講義とブラジルの外交官養成学校(リオ・ブランコ学院)での講義を行い、それぞれ約60名が聴講しました。

この他、「ブラジル海外投融資セミナー」では、JICAが世界各国で実施する海外投融資の中でも最大規模の実績がある同国で、2件の新規出資案件を含め社会課題の解決に資する案件に対して今後も継続的な協力を行うとスピーチし、多数のメディアに取り上げられました。また、JICAがセラード開発等長年農業分野で技術協力を行ってきたブラジル農牧研究公社(EMBRAPA)の創立50周年とJICAとのパートナーシップを記念して植樹を行いました。

2.パラグアイ共和国
続いてパラグアイを訪問した田中理事長は、首都アスンシオンでアブド・ベニテス現大統領及び8月に就任予定のペニャ次期大統領と会談しました。農業振興やインフラ整備、人材育成などのこれまでの協力を振り返り、宇宙開発事業や日本のスタートアップ企業の中南米地域進出、豊富な水資源を生かした水力発電由来の水素エネルギー分野での協力、日系社会との関係強化について話し合いました。また、外務省からはJICAのパラグアイにおけるこれまでの功績を称え、国家功労賞(大十字勲章)が授与されました。

宇宙開発分野では、新たに開始する技術協力「社会経済開発に向けた宇宙計画管理プロジェクト」の討議議事録の署名に立会い、パラグアイ宇宙機構の総裁や若手職員と意見交換を行いました。人工衛星開発や衛星画像の処理など、日本の高い技術力に期待する声が多くあがりました。

シウダ・デル・エステ市、イグアス市、首都アスンシオン各地では日系団体との意見交換や交流を行いました。シウダ・デル・エステ市では、日本からパラグアイに進出した萩原工業株式会社を訪問しました。同社は、2018年にJICAが中南米各国に派遣した民間連携調査団への参加を契機に、2022年にパラグアイに南米向け製造拠点を設立しており、パラグアイを拠点とした南米市場の進出戦略について意見交換しました。また、イグアス市では、JICAの日系社会研修に参加した研修員を中心に設置が検討されている「道の駅」候補地を視察しました。

最後に、JICAが進めている障害者の社会参加促進分野の協力について、専門家や海外協力隊の活動現場を視察しました。

ブラジル連邦議会にて

日系人によるトメアスのアグロフォレストリー農場視察

アルキミン副大統領と

パラグアイ外務省から国家功労賞(大十字勲章)を授与される田中理事長

海外協力隊の活動現場視察

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