モンゴル向け技術協力プロジェクト討議議事録の署名:地域特性に応じた市場志向型農業振興アプローチを通じ、野菜の食糧供給・安全保障強化に貢献

#2 飢餓をゼロに
SDGs
#8 働きがいも経済成長も
SDGs

2024.01.31

国際協力機構(JICA)は、1月30日 、ウランバートル市にて 、モンゴル国政府との間で、技術協力プロジェクト「市場志向型農業推進プロジェクト(MON-SHEP)」に関する討議議事録(Record of Discussions: R/D)に署名しました。

モンゴルの農牧業は、鉱業に次いでGDPの約11%(2022年)を占め、労働人口の約3割が従事する同国の基幹産業です。昨今、鉱物価格の下落の影響を受け、国の経済成長率が鈍化する中、農牧業はモンゴルの産業多角化の主翼を担うセクターとして位置付けられています。しかし、モンゴルでは厳冬期が長いことから、生鮮野菜を栽培可能な時期は限られており、ジャガイモ以外の生鮮野菜の4割を中国などからの輸入に依存し、野菜の自給率は長年低迷しています。野菜の8割が3ヘクタール未満の中小規模農家により生産されており、国内自給率の向上に向けて中小規模農家の栽培技術の向上及び野菜生産拡大に資する効果的な仕組みの確立が必要ですが、現状は伝統的な露地栽培による農法が中心で、収量や栽培可能な野菜の種類も限定的です。こうした状況を打開するため、モンゴル政府は「食糧・農業に関する国家政策(2016年~2025年)」を策定し、2025年までに野菜の自給率100%を目指すとしています。

署名式の様子

署名式の様子

本事業は、対象地域の特性に応じた市場志向型農業振興(Smallholder Horticulture Empowerment & Promotion(SHEP))アプローチ(注)に基づく一連の活動を通じて、グリーンハウスや貯蔵庫など作期を延ばすための施設及び寒さ対策のための設備も活用した計画的な野菜生産・普及方法等を中小規模の農家や農業普及員に技術移転し、国産の野菜生産の促進に資する市場志向型農業推進のための効果的な仕組みの確立を図ります。
こうした協力を通じて、SDGsのゴール2(飢餓をゼロに)及びゴール8(働きがいも経済成長も)に貢献します。

案件の詳細は以下のとおりです。

案件基礎情報

国名 モンゴル国
案件名 市場志向型農業推進プロジェクト
実施予定期間 48ヵ月
実施機関 食料・農牧業・軽工業省 
対象地域 ウランバートル市、セレンゲ県、ダルハンオール県、ドンドゴビ県、ウブルハンガイ県、トゥブ県、ザブハン県
具体的事業内容(予定) ・地域の特性に応じたSHEPアプローチを実践していく体制の確立。
・SHEPアプローチを実施するための農業担当職員と関係機関の実施者の能力の向上。
・対象農家に対するSHEPアプローチに基づく技術指導の実施。
・市場志向型農業推進のための農業普及戦略案の策定、提示。

(注)2006年から始まったケニア農業省とJICAの技術協力プロジェクトにおいて開発された小規模園芸農家支援のアプローチであり、野菜や果物を生産する農家に対し、「作って売る」から「売るために作る」への意識変革を起こし、営農スキルや栽培スキル向上によって農家の園芸所得向上を目指すものです。ケニアでは、このアプローチを実践により、わずか2年間(2007年6月〜2009年10月)で2,500もの小規模農家の収入を倍増させました。JICAはこのアプローチを広めるべく、SHEPアプローチを取り入れた活動を世界各国で実践しています。

\SNSでシェア!/

  • X (Twitter)
  • linkedIn
一覧ページへ