【インタビュー記事】「このプログラムが自信や経験のなかった自分に力をくれた~Géneva Martínezさん~(日墨研修:乾燥地農業技術プログラム)

2023.12.12

外に出て何か新しいことをしたい。そんな時にインターネットで見つけた日墨研修。日本の生活の中で異なる文化や考え方と向き合い関係性を作り上げてきた経験。そして、求めていた知識やスキルを習得し、日本の識者とのネットワークが構築できたことでの自信。研修残りわずかな時にインタビューに答えてくれたジェネバ・マルティネス(Géneva Martínez)さん。この日墨研修の意義と、50年続く源を垣間見えた時間となりました。

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日墨研修への参加のきっかけ

外に出て何か新しい事をしたい!!そんな時に研修の募集を見て、まだ自分にない知識を学ぶことができる私にとって完璧なプログラムだと確信しました。農業分野の企業で働いていたので、今回の研修コース参加は職場の後押しもあり、休職して応募することができました。職場の方々の助けが参加決意の大きな力になったと感じています。

言葉の壁から見えてきたこと

来日前後の約3か月間日本語を勉強していたので、リスニングには慣れ、今ではひらがなとカタカナを読むことが出来るようになりました。でも、漢字はすごく難しいので、無意識に避けている気がします。これもストレスをためず生活する工夫だ!と思いつつ、必要な時は翻訳サイトに頼っています。事前に日本語を勉強していたこともあり、言語面でのカルチャーショックはあまり大きくなかったのですが、来日した当初は、日本人とメキシコ人の間で壁を感じていましたが、会話をすることで少しずつ距離が縮まり、うまくいくようになったと、今では思っています。

異国の方と関係を構築するには「話す」ことは大事だと思いますが、それでも異国での滞在は困難なこと、嫌なことは生まれます。その時は一緒に来た他のメキシコ人と理解できない事柄やイライラした出来事を共有することで異文化に適応してきたのかなと思います。

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研修プログラムの魅力は?

このコースの魅力は、受け入れ先である鳥取大学の教授たちがメキシコの南部の砂漠で活動した経験を持っていることだと思います。私たちが農業の現場で直面している様々な課題に対して知見があり、メキシコの文脈に根ざした事が学べるので、実践ですぐに活用できる点が素晴らしいと思います。

研修期間中、広島、名古屋、大阪、東京、京都、松江と様々なところへ旅行しました。どの場所も素敵ですが、博物館や歴史が好きなので京都が一番好きです!

京都では伏見稲荷、清水寺、現代芸術美術館などの2つの美術館、祇園祭り、映画にも行きました。神輿をみられたことは貴重な体験で、日本は仏教と神道等の宗教が混在しているのがとても興味深いなと思っています。

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日墨研修で得た学びとは

日墨研修ではたくさん学ぶことがあったのですが、その中から選ぶとしたら「日本人が持っている他者と協力して行う力」や「相互扶助があれば、生産者間でのダイナミックな競争を生み出すことができる」を体感したことが大きな学びです。

これは研修中のいろいろなところで気づいたことですが、例えばJAへ視察訪問した時、一次生産者を組織化することで、原材料の入手や新たな農業技術の開発、商品の公正な流通などが組織化され促進につながっていることに驚きました。メキシコでも同様のシステムは少なくとも存在はするのですが、生産者にとって公正なビジネスとして軌道に乗せるには不十分な点が多く、日本のシステムからヒントをもらいました。

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日墨研修の参加で変化したこと

自然との向き合い方です。メキシコは素晴らしい自然がたくさんあるのですが、山や海、川などの場所へ行きアクティビティを通して自然を満喫しています。でも、日本では公園のベンチに座るだけで十分に自然の有難みを感じることができ、限られた土地の中で「心が穏やかになる」空間を生み出していると思いました。

また、日本人は時間を守り、計画的に物事を進めていくということを学んだので、今は締切り間近に急いで行うことはなくなりました。

日本で出会ったカルチャーショック!!

メキシコでは、おしゃべりするのは当たり前だったので、来日当初、公共交通機関では大声で喋ったり笑ったりできないのは「なぜダメなのか」、そのルールが理解できませんでした。日本で生活していくと、そのルールの背景には「他者を思いやる」という日本人の考え方に触れた場面でした。

「社会のルールを理解できなくても、腹を立てず、心を開いて受け入れること。そのルールには必ず理由があるから」と話してくれたメキシコの日本語の先生言葉を思い出し、その意味を来日してから理解することができました。

今では、ようやく日本のルールに馴染んだので、メキシコ帰国後は逆カルチャーショックがあるかもしれないです。

あとは、食べものです!メキシコでは、たくさんの野菜と果物を食べていましたが、日本で入手するのが難しいです。特にメキシコ料理に使われる野菜や香草類や、辛いソースも日本で見つけることができず、メキシコ料理を簡単に作ることができなかったのが残念でした。

でも、今では日本で手に入るものを楽しむようになりました。

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Genevaさんが感じているメキシコの強みとは

私が現在学んでいる農業分野でいうと、十分な天然資源や、若くて十分に技術がある労働力、輸出入のシステムも整備されており、メキシコはそれらが整備されていることが強みだと思います。

ただ、それらを統合させて発展させていく組織力や技術がメキシコにはないのです。また、長期目標を設定する点が欠けています。今回の研修が、その解決に生きるのではないかと思っています。

研修を終えて、帰国後は?

日本語が好きなので、もしメキシコシティに住む機会があれば、日墨研修が提供してくれた同じ語学学校に通いたいです。たまには日本に住んでいるメキシコ出身の友達と日本語でおしゃべりをしたり、メキシコにある日本語コミュニティにも参加し、帰国後も日本語を話す機会を作っていけたらいいなと思います。

仕事では以前の職場に復帰をする予定です。プロジェクトコーディネータとして積極的に一緒に働いているエンジニアや技術者、生産者等の関係者と意見交換を行いたいです。

メキシコでのプロジェクトを進めてく知識と自信を今回の研修でもらいました。これは、とても大きな財産です。日本の教授と働いている会社の関係構築の橋渡し的な役割ができたらいいなと思っています。

知識や経験がなかった自分にとって、このプログラムは私のためにあるのかと思うくらい学びの多いものとなりました。

メキシコに帰っても、「前もって物事を進めたりする習慣」「現実的な目標を立てること、時間を守ること」を意識して取り組んでいきたいと考えています。

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聞き手:
杉浦 里佳
JICA 中南米部中米・カリブ課インターン
活動期間:2023 年 8 月~2023 年 10 月

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