草の根技術協力事業って何?

草の根技術協力事業とは?

草の根技術協力事業は、国際協力の意志をお持ちの日本のNGO、大学、地方自治体および公益法人等の団体による開発途上国の地域住民を対象とした協力活動を、JICAが政府開発援助(ODA)の一環として促進し、助長する事業です。
本事業の名称として冠した「草の根」は、日本の市民と相手国地域住民との間の草の根レベルのきめ細かい協力を想定して付けたものです。
事業の目的としては、以下の2つがあります。

  1. 市民の力による開発への貢献が質・量ともに拡大する。
  2. 途上国や日本の地域の課題解決への理解・参加が促進される。

具体的には、JICAがNGO等の団体による主体的な活動の提案を審査し、ODAによる実施が妥当であると認める提案について、承認した活動計画に基づき、その事業の実施を提案団体に契約に基づき委託することにより、共同で実施するものです。

最近の制度改善

草の根技術協力事業は、2002年度の制度の設置以来、事業に参加いただくNGO等との協議を踏まえ、逐次改善がなされてきました。
2015年度には、NGO-JICA協議会のもとに設置した「草の根技術協力事業10年の振り返り分科会」、2014年度に行われた行政事業レビュー、同レビューを踏まえて実施された外務省ODA評価「草の根技術協力事業に関する評価」の指摘、実地検査等をふまえた会計検査院からの指摘・提言、及び各地域のNGO等との意見交換の結果、主に以下の2点につき改善を図りました。

  1. より多くの団体が参加できるような制度に見直しを図りました。具体的には、これまでの「草の根協力支援型」と「草の根パートナー型」を統合し、「新・パートナー型」とした上で、より小規模な事業を対象とした「新・草の根協力支援型」を設置しました。
  2. 日本の地域社会が抱える課題解決にも貢献する活動や、開発途上国における経験を日本国内に還元する活動を盛り込めるような制度に見直しを図りました。

草の根技術協力事業の原則

草の根技術協力事業は、独立行政法人国際協力機構法に基づき実施される事業であり、以下のとおり規定されています。

  1. 国民等の協力活動を志望するものからの提案による事業であること。
  2. 外務大臣が適当と認める事業であること。
  3. 当該国民等の協力活動を志望するものに委託して行う事業であること。
  4. 機構と実施団体との協力関係のもとに実施する事業であること。
  5. 提案を募る際、国民等の発意が可能な限り尊重され、かつ開発途上地域の実情に合致した事業となるよう提案者からの相談に応じること。

これら法律等に規定された事業の原則以外に、事業の在り方として、以下、説明させて頂きます。

草の根技術協力事業のPoint 1:地域住民の生活に直接役立つ事業

草の根技術協力事業の事業内容は、開発途上国の人々の生活改善・生計向上に直接役立つ内容である必要があります。事業の対象分野・課題については、厳密な定めはありませんが、例として次のような分野・課題での事業が挙げられます。

  • コミュニティ開発(農・山・漁村等の開発を含む。)
  • 防災の主流化(災害に強いコミュニティづくり等)
  • 脆弱性の高い人々への支援(児童・障害者・高齢者・難民等)
  • ジェンダーの主流化(ジェンダーの平等を目指したエンパワーメント等)
  • 保健医療(地域保健、母子保健、公衆衛生、栄養改善、プライマリヘルスケア、リプロダクティブヘルス、HIV/AIDS、ユニバーサルヘルスカバレッジ等)
  • 生計向上(伝統産業振興、住民組織化等)
  • 人材育成(教員養成、識字教育、ノンフォーマル教育、初等教育環境改善、職業訓練等)
  • 自然資源の持続的利用(荒廃地回復、森林・水産資源管理等)

なお、(1)実施団体の経済的利益を目的とした事業、(2)宗教活動・政治活動に関する事業、(3)文化交流(スポーツ、日本語教育等)が目的となっている事業や(4)医療行為を伴う事業は、草の根技術協力事業の対象とはしていません。

草の根技術協力事業のPoint 2:人を介した「技術協力」

本事業は市民による「技術協力」を行うための制度ですので、物品の寄付や施設の建設、調査・研究だけで完結してしまうような事業は対象としていません。ここで言う「技術協力」とは、人を介した協力を通じて、知識・技術や経験・制度等を移転することを指します。
本事業では、この移転を行うにあたり必要となる簡易な機材の供与や施設の整備をすることは可能ですが、あくまでも事業の中心は、日本の人材から現地の人材への技術指導に置かれる必要があります。たとえ施設を建設する場合でも、日本から派遣された人材と現地の人材が協力して、その施設を活用するための方法や、将来にわたって維持管理されるための体制を根付かせていくことが必要です。
なお、人を介した知識・技術等の移転があったとしても、それが現地の団体が主体的に実施しているもので、日本の団体は主に資金を提供するだけの事業は対象となりません。

草の根技術協力事業のPoint 3:国際協力に対する理解・参加促進

草の根技術協力事業では、日本の団体が事業を実施することにより、日本の市民が国際協力に対する理解や参加を促す機会となることを目的の一つとしています。
事業実施団体の国内関係者(支援者等)や市民一般に対して、草の根技術協力事業の成果を積極的に発信したり、市民向けの報告会やセミナー等を開催することにより、国際協力への理解・支持を拡大することが期待されています。

さらに、団体の途上国における活動経験を踏まえ、日本国内の課題解決に資する活動も事業総額の10%を上限に含めることを可能としています。分野・課題の定めはありませんが、活動例として、途上国のコミュニティで住民を巻き込んで課題を解決した経験や蓄積したノウハウを、日本の地域における住民間の協議の場で活用することや、途上国での活動の中で作成したマニュアル等を、日本の地域の課題解決に役立てるために活用すること等が挙げられます。

草の根技術協力事業の事業形態

草の根技術協力事業においては、以下の3つの事業形態を用意しています。各事業形態の詳細は、リンク先を参照してください。

  1. 草の根パートナー型
    開発途上国・地域への支援活動について、2年以上の活動実績を有しているNGO等の団体(法人格を有する団体に限る。)を対象としています。事業規模の上限は1億円/5年間です。
  2. 草の根協力支援型
    開発途上国・地域への支援活動についての実績が少ないNGO等の団体を対象としています。事業規模の上限は1000万円/3年間です。
  3. 地域提案型
    地方自治体または地方自治体が推薦する団体を対象としています。事業規模の上限は、3000万円/3年間です。

草の根技術協力事業の対象国

本事業実施の対象国は、全世界で89ヵ国です(2015年10月現在)。ただし、対象国の事業であっても、応募時点で外務省の渡航情報(危険情報)(外務省ホームページ)により「退避してください。渡航は止めてください(退避勧告)」「渡航は止めてください。(渡航中止勧告)」とされる地域を対象とした事業については、応募の受付け対象外とします。また、外務省の渡航情報により、「不要不急の渡航は止めてください。」とされる地域でのご提案で、募集締切日の1ヵ月前までに、JICA国内機関に必要な対応について協議していない場合には、審査の対象外となりますので、ご留意ください。
応募受付対象外となる国については、募集要項にて特定いたします。

アジア地域:22ヵ国
インド、インドネシア、ベトナム、ウズベキスタン、タジキスタン、カンボジア、スリランカ、タイ、中華人民共和国、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、フィリピン、マレーシア、ミャンマー、モンゴル、ラオス、キルギス、東ティモール、ブータン、アフガニスタン、モルディブ
中南米地域:21ヵ国
アルゼンチン、コロンビア、チリ、ドミニカ共和国、パナマ、パラグアイ、ブラジル、ペルー、ボリビア、ホンジュラス、メキシコ、エルサルバドル、グアテマラ、コスタリカ、ジャマイカ、ニカラグア、エクアドル、ウルグアイ、セントルシア、ベネズエラ、ベリーズ
大洋州地域:9ヵ国
サモア、パプアニューギニア、フィジー、バヌアツ、ソロモン、トンガ、パラオ、ミクロネシア、マーシャル
中近東地域:9ヵ国
イラン、イラク、エジプト、ヨルダン、チュニジア、パレスチナ、モロッコ、シリア、イエメン
アフリカ地域26ヵ国
エチオピア、ガーナ、ケニア、ザンビア、ジンバブエ、セネガル、タンザニア、ナイジェリア、ブルキナファソ、マラウイ、南アフリカ共和国、モザンビーク、ウガンダ、コートジボワール、ニジェール、ボツワナ、ルワンダ、ジブチ、スーダン、南スーダン、ベナン、カメルーン、コンゴ民主共和国、ガボン、マダガスカル、ナミビア
欧州地域2ヵ国
セルビア、トルコ

草の根技術協力事業の実施方法

事業の実施にあたっては、JICAとNGO等(事業実施団体)との間で業務委託契約書を締結し、JICAがNGO等に事業を委託する形で実施します。
JICAが委託した業務の完了を確認したうえで、業務の報酬として契約金額をお支払いする制度であり、助成金や補助金とは性格が大きく異なる事業であることにご留意ください。
また、委託業務の進捗をJICAと提案団体の双方で確認させていただくため、契約に基づき所定の活動報告および事業評価並びに会計報告をお願いすることとなりますので、ご理解をお願いします。