小学校カリキュラムに関するセミナーを実施しました

2011年3月10日

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基調講演を行う馬場教授

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セミナーにおける発表の様子

3月10日、ダッカにて、初等教育局(DPE)主催、JICA後援による小学校カリキュラムに関するセミナーを実施しました。初等大衆教育省(MOPME)次官、国家カリキュラム教科書委員会(NCTB)委員長、初等教育アカデミー(NAPE)局長、を中心として40名程度の政府初等教育関係者が集まりました。政策決定者が一堂に集まったため、このセミナーで出された提案や発言が、カリキュラム改訂の将来の方向性を提示する事が期待されています。

算数、理科、英語のそれぞれの教科における、世界のカリキュラムの潮流とバングラデシュのカリキュラムの現状について、発表と議論が行われました。理科と算数については本案件の理科教育専門家の広島大学清水准教授と算数教育担当の埼玉大学二宮准教授が、英語については、英国国際開発省(DFID)が実施しているEnglish in ActionプロジェクトのWoodward専門家からの発表がありました。清水准教授は、現行のバングラデシュの教科書の問題点の示唆や、日本やアメリカのカリキュラムを基にした学年ごとの学習内容の発展の考察を行いました。二宮准教授は、幾何学を例にしたバングラデシュと日本の教科書を比較し、目標、過程、各単元の関連性を踏まえた上での教科書作成の重要性を強調しました。Woodward専門家は、シンガポールやスリランカを例に、生徒中心の授業実践の紹介を行い、バングラデシュにおける試験制度の問題点を指摘しました。その後、本案件の副総括/教授法担当である広島大学の馬場教授が、日本の授業現場のビデオ映像を用いて日本とバングラデシュの相違点を紹介し、授業研究を活用する利点とよりよいカリキュラムとの関連性について発表しました。それぞれの発表者が具体的な事例を用いたわかりやすい発表を行ったため、参加者が世界の潮流と照らし合わせた上でのカリキュラム改訂の重要性を再認識している様子が伺えました。

最後に、初等大衆教育省次官、国家カリキュラム教科書局長及び初等教育局長より、今回のセミナーの成果を踏まえ、今後もJICAと協働してカリキュラム改訂に向けた活動、及び授業研究を積極的に推進したいという発言がありました。このセミナーで高まったカリキュラム改善に向けた熱気が冷める前に次のプログラムを実施することが重要で、次回はより具体的なレベルでの議論をさらに深めていきたいと考えています。

文責:インターン 広島大学 河原 太郎