2011年4月17日
2011年4月9日から17日
DPEd教科別主任オリエンテーションの趣旨について説明するチームリーダー
NAPEのセミナールームに集まったDPEd教科別主任の面々
PEDP IIの開始当初から、現行の初等教員養成課程(C-in-Ed)のカリキュラム改訂は予定されていましたが、なかなか具体的な作業が進まず、一度2008年にダッカ大学教育研究所(IER)の教授をリーダーとして改訂作業が動いた時もありましたが、その後ストップしてしまっていました。バングラデシュにおいて初等教員養成課程に関する責任部署は国立初等教育アカデミー(NAPE)となっていますが、今回もNAPEが中心となって、そのカリキュラム改訂作業が、2010年に再開しました。その後、新カリキュラム全体のフレームワークも決まり、2011年4月になっていよいよ教科別のカリキュラムと教科書執筆が始まることとなったのです。
新しい初等教員養成課程(DPEd)では、これまでCertificateだった教員資格がDiplomaという学位に近いものとなり、それに伴って12カ月の課程が18カ月に延びることとなりました。また座学と実習の効果的な組み合わせも狙っており、新しいDPEdで学ぶ学生は、初等教員訓練所(PTI)と教育実習校を行ったり来たりするように18カ月の履修期間中(合計54週)に長短合わせて7回の教育実習の機会(合計32週)が組み込まれています。
さて、今回の教科別主任オリエンテーションでは、チームリーダーの他に7名のベンガル人専門家が招集されました。内訳は以下の通りです。
初等教育カリキュラムの意義に関する議論をファシリテートするベンガル人コンサルタント(ユニセフ)
各教科のコース概要に関して議論するDPEd教科別主任ら
学校訪問先の小学校5年生算数の授業で黒板を使って解法を示す標準的な学校の先生
また今回のDPEd開発については、NAPEから各開発パートナーへも技術協力の依頼があり、上記のチームリーダーと教科別主任に対してはUNICEFが資金と全体マネージメントを提供し、英国開発省(DFID)からはチームリーダー補佐と英語教育専門家を当地における英語教育プロジェクト(Englishin Action)より投入、JICAからも本技プロの理科教育と算数教育の専門家を投入して、新カリキュラムの質を向上させる取り組みをそれぞれ行うこととなりました。
4月9日から間にバングラ新年のお休みを挟んで17日までの7日間、マイメンシン県のNAPEを会場に、「初等教育の目指すものは何か?」といった根本的な議論から始まり、「初等教員養成の目指すものは何なのか?」「新カリキュラムのフレームワークについて」「教員養成課程のアセスメント」といった議論をしながら、2日目と4日目にはマイメンシン県の小学校を訪問し、実態の把握にも努めました。特に4日目の小学校訪問では、本技プロの前フェーズで教育パッケージの開発に協力してくれた小学校2校を訪問し、各教科別主任らは学校現場にて授業改善活動が実践されていることに感銘を受け、「授業では、教師が一方的に講義するのではなく、生徒が自分で考えたり、活動に参加する機会が与えられていた」ことを大変に評価できる点として、述べていました。
4月中には各教科のコース概要が出来上がり、5月からは教科書執筆が始まる予定でいます。5月7日からNAPEで行われる予定の教科書執筆者ワークショップまでには、教科書執筆者の委嘱も終了していることでしょう。もちろんJICAからは、本技プロの理科教育と算数教育の専門家が教科書執筆者グループに加わり、より良いDPEdとなるよう、支援を続けていきます。
文責:総括/理科教育1 相馬敬