第3回農業普及員研修(夏野菜栽培)(2018年3月)

2018年3月26日

ブータンには20の県があり、各県には一つ下の行政単位として郡が設けられています。全国205郡に区分されていて、単純な比較はできませんが、仕事の規模的には日本の市町村よりかなり小さめと考えて差し支えないでしょう。複数の集落で構成される郡は、小さいながらも選挙で選ばれた議員からなる議会を持ち、各種の行政サービスを住民に提供する役割を担っています。本プロジェクトの活動においても、郡は重要なパートナーと位置付けることができます。各郡には農業普及所が設置されており、そこに配置されている農業普及員の協力を得ながら、園芸普及農家の選抜や、種苗配布等の活動を行っています。

3月中旬、その郡農業普及員を対象とする園芸技術研修を実施しました。プロジェクトでは、これまでに同様の研修を二度企画し、それぞれ特定の技術課題を取り上げ、農業普及員に技術研鑽の場を提供してきました。今回は、作付けを迎えている夏野菜のうち、特にカボチャ、ズッキーニさらにはスイカに焦点を当て、植え付けの実技を中心とする研修を行いました。これらの作物は、昨年から有志農家に種子を配布し、普及を試みていますが、活動地域での栽培実績が少ないため、種苗供給と栽培技術に関する継続的なサポートが求められています。今回の研修は、地域における農業普及の核となるべき郡農業普及員の能力向上を図り、彼らを通じて必要なサポートが農家に提供されることを目的としています。

プロジェクト拠点のバジョ農業研究開発センターで行われた研修には、活動対象4県から8名の普及員が参加し、日本人専門家やカウンターパートの指導を受けながら、同センター圃場のハウスで育てられたカボチャ苗を露地へ移植し、マルチ・キャップ被覆、潅水等の作業に汗を流しました。今回参加した普及員は、上記作物の導入栽培に参加する意欲がある農家を事前に選抜しており、研修の翌日から、プロジェクトが提供したカボチャやスイカ苗を配って回り、農家への栽培指導に追われていました。

上記のとおり、郡農業普及員は地域における農業普及の核と位置付けられ、プロジェクトの普及活動を展開する上でも重要な役割が期待される存在です。しかしながら、意欲・能力・人事異動等の要因が重なり、十分に機能しているとは言い難いのも実情です。そういった状況の改善を目指す意味でも、彼らの能力向上につながる取り組みを今後も継続する必要があります。

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植え付け位置にカボチャ苗を運ぶ普及員とカウンターパート

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一本一本丁寧にカボチャ苗を植え付けます

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仕上げとして、保温のためポリキャップを被せました

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講義で熱心にメモを取る研修参加普及員

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導入栽培に参加する農家には苗が提供されました

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研修ではセンター圃場でイチゴ狩りも体験しました(写真左はPema Chofil場長)