(1)当該国における平和構築の現状と課題
1995年12月のデイトン合意により紛争が終結したボスニア・ヘルツェゴビナ(以下「BiH」)においては、今日でも依然中央政府のもとに、ムスリム系・クロアチア系住民が中心の「ボスニア・ヘルツェゴビナ連邦(以下、「FBiH」)」およびセルビア系住民が中心の「スルプスカ共和国(以下、「RS」)」)という2つのエンティティ(高度な自治権を持つ行政主体)が存在する分裂した状態が続いている。
各エンティティには独自の大統領、政府が存在するだけでなく、それぞれ独自の司法、教育等の国家制度を有しており、国内統合は進んでいない。さらに教育分野においては、…