地方の税務署員を対象にした日本の税務行政及び租税教育・広報に関する3日間集中セミナーの実施

2017年7月13日

2017年7月11〜13日の3日間の日程で、武藤チーフアドバイザーによる「日本の税務行政及び租税教育・広報」に関する3日間集中セミナーを世界遺産であるアンコールワットのあるSiem Reap市で実施しました。2月にも1度GDTの職員、プノンペン市にある9つの税務署の職員を対象に実施した同セミナーを実施しましたが、今回はSiem Reap州、Banteay Meanchey州、Oddor Meanchey州、Pailin州、Battambang州、Pursat州、Kampong Chhnang州、Kampong Thom州、Preah Vihea州、Stung Treng州、Rattanakiri州の11州の税務署職員、計55名に対してセミナーを実施しました。

冒頭、武藤チーフアドバイザーより本日のセミナー内容を受け身で聞くのではなく、「比較」をキーワードにセミナーを受講し、日本とカンボジアはどう違い、どうずればカンボジアの税務行政改善に役立つのかを考えて欲しい旨の発言がありました。さらに、同セミナーは大学教授・研究者を養成するものではなく、カンボジアの税務行政の最前線で働く職員を対象にした実務的なものであり、”One Man’s Meat is Another Man’s Poison”という諺の意味を考えつつ、研修を受けるよう指示がありました。

1日目のセミナーは日本の税務行政について説明があり、国税庁の使命、日本の申告納税制度、財務省、国税庁・国税局・税務署の組織体制、日本の税務行政の特長について講義がありました。日本の税目や日本の納税者のカテゴリーはどのようなものがあるかと言った基礎的な質問から、納税者が税務登録に来ない場合どう日本は対応するのか、納税者から多く税金を徴収してしまった場合、日本では税務署員に対して罰則があるのかといった悩み相談のような質問を含め、研修生からは多くの質問がなされ、ひとつひとつ丁寧に武藤チーフアドバイザーが回答をしました。講義終了時には択一式の試験(10点満点)を行いましたが、満点はゼロで、最高点は8点、平均は6.4点でした。

2日目は日本の租税教育・広報に関して、小学校での租税教育や租税教育教材、タックススペースUENO、東京国税局税務相談室(上野コールセンター)等について紹介され、国税庁の租税教育・広報の取り組みが説明されました。セミナー中、国税庁作成のDVD「マリンとヤマト不思議な日曜日」を上映し、税金のない社会がどう不便になるか、子供にでも親しみやすいアニメを使って理解してもらいました。

研修最終日の3日目には、セミナーで得られた租税教育・広報の日本の経験に基いて、テーマにそってディスカッションをし、ゼミ形式で発表を行うワークショップを実施しました。全体を10グループに分け、全グループが解答班と質問班の役割を担いました。解答班はグループで話し合った解答を大きな模造紙に書き、全員に対してプレゼンを行いました。質問班は解答班が発表した内容に質問やコメントを投げました。学んだことをアウトプットさせることにより参加者一人一人にセミナーで何を学び、カンボジアの税務行政で何をどう活かしたいのか、より深く学んでもらいました。

最後の難関である記述式試験も課しましたが、晴れて全員に修了証を手交することができました。今回の参加者がそれぞれの税務の現場で、日本の税務行政の良い部分をカンボジアの税務行政に活かす伝道師になることを期待しています。

また、セミナー後に実施した参加者からのアンケートでは、セミナーの内容はもとより、ワークショップで議論を深められたのが非常によかったと声が多くありました。他の税務職員を対象に同様の集中セミナーを今後も実施する予定です。

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集中セミナーで熱弁を振るう武藤チーフアドバイザー

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参加者に疑問を投げかける武藤チーフアドバイザー

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模造紙を用いて講義内容の補足説明をする武藤チーフアドバイザー

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集中セミナー内での解答班によるゼミ発表の様子

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武藤チーフアドバイザーの講義を注意深く聞く参加者の様子

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グループディスカッションをオブザーブする武藤チーフアドバイザー

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集中セミナー内での解答班によるゼミ発表の様子

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3日間の集中セミナーを修了した職員に対し、修了証が一人一人交付された修了式の様子

【画像】集中セミナー修了後の記念撮影