大川原先生のE-JUST訪問とフィールドでの研究指導

2014年2月23日

E-JUSTのエネルギー資源工学専攻を支援する東京工業大学から、大川原先生が2014年2月23日から3月30日まで来訪されました。「ERE602 Advanced Computational Fluid Dynamics」のコースを実施いただいた他、大学院生の研究の指導を行っていただきました。
学生研究の一つの例は、新しく開発されたコーティング剤を利用して太陽光パネル上への砂やほこりの堆積量を減らし、発電能力の低下を押えようという取り組みです。今回は表面にコーティング剤を塗ったスライドガラスを自然環境下におき、コーティングしていないものとでちりや砂の堆積状況の違いを調べる実験が行われていました。スライドガラスは研究用に稼働しているJICA供与の太陽光パネル脇に設置され、付着物の同定および堆積量の測定にはJICA供与の走査電子顕微鏡 (SEM)等が用いられています。
次の例は、自然エネルギーを利用したサステイナブル・ビレッジ構想への協力プロジェクトです。エジプト北西部のシーワで開発が進むサステイナブル・ビレッジにおいて、太陽熱を利用し地中熱を循環させる技術や太陽光発電技術をエコ住宅に適用する実証実験が近々行われる予定で、現在その準備作業が大川原先生を中心に行われています。

「フェーズ2に入り企業などとの共同研究の例が生まれ始めています。エネルギー環境工学専攻では太陽光や太陽熱、さらに地中熱などの自然エネルギーの有効利用で企業や団体との連携が進んでいます。(瀬戸口)」

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教室での学生との議論の様子

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実験サンプルについてディスカッションする大川原先生と学生たち

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太陽光パネル脇に設置されたコーティングを施した実験サンプル(スライドガラス)とそうでない実験サンプル

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太陽熱で地中熱を家屋内に循環させるエコハウスのプロトタイプ

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シーワのサステイナブル・ビレッジにおいて実験家屋建設予定地の測量をするEREのHamza教授と学生

注:
タジリ・エコロッジ・サステナブル・ビレッジ(Taziry Ecolodge & Sustainable Village)は、エジプトの北西部リビア国境から50キロほどのオアシスの町にある施設で、シーワの伝統的な材料と工法で作る建物や家具、有機農業の取組みとレストランでの提供、地域での環境教育やフェアトレードの取組み、加えてシーワ旧市街や郊外の遺跡の修復などにも取組んでいる。同サステナブル・ビレッジは、Environmental Quality International (EQI)がカナダ国際開発庁(CIDA)などの支援を受けて実施した「Siwa Sustainable Development Initiative」プロジェクトの一つで、その他にシャーリー・ロッジ拡張、シーワ女性手工芸家育成、有機農業導入、バイオガス導入などが実施された。(出典:UNDP(2007)Case Study - Siwa Sustainable Development Initiative(PDF/798KB)