2018年の中学校教科書の配付の集大成:第3回中学校数学教員振り返り活動実施

2018年11月20日

エルサルバドルでは通常1月に新学期が始まり10月末に終了します。第3回目となる今回の教員振り返り活動は全国公立中学校に配布された数学教科書使用の結果分析、課題の抽出やそれに対する解決方法の話し合い、次年度計画の策定、来年度から全国配布される練習帳の導入研修の実施を目的として実施されました。

年内最後の振り返り活動ということでまず気になったのは年間授業時数。なぜならエルサルバドルでは法定授業時数200時間に届かない学校がほとんどなのです。そこでプロジェクトではその8割に当たる160時間の授業を提案しています。気になる結果の方は、視察したカバーニャス県の会場の7年生の教員の6割が全単元を終了。他方8年生、9年生はもっと低い数値に。あまり喜べない状況ではありますが光明も。なんと絶望的と思われた8,9年生も含め全学年全単元を終了したという教員を見つけることができました。今後この教員にはスポットを当てグッドプラクティスとしてセミナーに招待し全国へその秘訣を広める予定です。また、同県ではインパクト評価として2年生の一部教員にも介入していますが、こちらは全員が160時間を達成するという快挙を成し遂げました。

教員振り返りも開始当初は他の教員とテスト結果を比べること、教科書やテストを解くことに抵抗を示す教員も多くみられましたが、3回目を迎えた現在では普通にテスト結果を比べ、わからないときは教員間で話し合う姿が自然と生まれるようになっています。今回何より成長が感じられたのが、テスト分析の後の難しかった内容の指摘の仕方。これまでは漠然と「1次関数の単元が難しい」といった内容だったものが、同じ1次関数の内容でも「表やグラフの読み取りには問題ないものの、グラフから式に表すことや傾きやy切片といった用語が理解できていない。」といったように、しっかり生徒の躓きなどを把握していなければできない内容となっていたことです。指導というインプットやアクティビティしか見ていなかった教員が生徒の学びというアウトプットを気にするように変容した姿が垣間見られました。

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年間指導計画策定で見せ合い相談しながら計画を立てる教員の様子。

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パソコンにダウンロードした教科書やテスト結果を確認しながら計画を策定する様子。