2015年6月の活動

2015年6月30日

I.プロジェクト管理面に関わる活動

(1)週例会議の実施

対象3郡それぞれと、1週間に1度の頻度で週例会議を開催しました。
リベンチュカラ郡では、一部のDAファシリテーターがFFS活動を行っていないなどの課題が解決していないため、引き続き郡事務所副所長や普及チームリーダーとも協議を重ねました。また、同郡では月例会議の準備や、四半期協議会の準備なども十分余裕をもって取り掛かる姿勢がみられました。
ボラ郡でも、これまであまり現場に行っていなかった自然資源管理チームリーダーがバックストッピングに行きだすなど、変化がみられてきました。6月上旬に実施したマネジメント会議(後述します)以降、自然資源管理以外の専門家も自主的にFFSサイトに訪問するなど、郡全体としてモニタリングに協力している点が評価できます。また新たにSMS(Subject Matter Specialist)チェックリストの文書にFFS活動が組み込まれ、郡の活動として位置づけられたことが確認されました。
アダマ郡では、近隣の農業研究所であるメルカサ研究所やワシャワラ研究所から改良飼料種子の調達を行ない他2郡にも共有するなど、プロジェクト外のリソースを活用した自律的な動きがみられました。他郡と比べると、FFSの数は限定されていますが、自然資源管理チームリーダーの強いリーダーシップのもと、乾季の活動から雨季の活動準備へと順調に活動を継続しています。

(2)月例ファシリテーター会議の実施

各郡にて月例会議を開催した。議題は次のとおりです。
(1)FFSの進捗確認(乾期の苗木生産数、フィールドディ・エクスチェンジビジットの報告など)
(2)施肥の方法
(3)穀物のPTD(Participatory Technology Development)
(4)苗木の植え穴の準備(演習)
(5)野菜栽培と移植の仕方
(6)飼料の栽培方法と飼料用PTD
(7)苗木管理と水遣りについて
5月に実施されたマスタートレーナー養成研修で話し合われたテーマより上記の指導内容を決定し、同会議を実施しました。会議の実演や指導は主に郡職員が担当し、プロジェクトはサポートのみを行ないました。
リベンチュカラ郡は、普及員ファシリテーターと農民ファシリテーターの2回に分けてそれぞれ月例会議を実施しました。農民ファシリテーター会議には全てのファシリテーターが参加し、郡職員からの指導を熱心に聞き、実演を行なっていました。普及員ファシリテーター会議には参加予定の18グループ中10グループが参加しました。会議内の報告において、3グループの普及員ファシリテーターがFFSファシリテーションを欠席していることが分かりました。この問題への対応についてマネジメント会議で検討して対応する予定です。
ボラ郡は、第2ラウンドグループと第3ラウンドグループの2回に分けて会議を実施しました。会議において3つの森林協同組合FFSグループのうち1グループの活動が止まっているとの報告がありました。担当している普及員ファシリテーターと、このグループのバックストッピングを担当する郡専門官のグループ管理と指導が問題と見られます。その他のグループについては、比較的順調に活動が進んでおり、また会議の実演では、自然資源管理担当官以外の郡職員の協力もあり、充実した内容でした。
アダマ郡では、全8グループを1回に集めて会議を実施しました。FTCで実施中の1FFSグループの活動が遅れている状況が見られました。その他のグループにおいては、自然資源管理チームリーダーの指導のもと、雨期活動の準備が順調に進んでいると言えます。遅れているグループについてはマネジメント会議で協議を行ない、対応について検討します。

(3)月例マネジメント会議の実施

6月上旬に各郡で初の月例マネジメント会議を実施しました。参加者は各郡により多少違いがありますが、農業事務所次長、普及チームリーダー、自然資源管理チームリーダー、バックストッパー、自然資源管理チーム専門官、SMS専門官、プロジェクトで平均して13〜15名の参加者で実施しました。主な運営は自然資源管理チームリーダーによって行われました。今月の各郡共通の議題は、各郡でのFFSの進捗と課題、月例会議で確認された課題の報告と解決方法、FTC-FFSで木材生産活動を行う際の手続きの確認、モバイルモニタリングの再開でした。このほか、リベンチュカラ郡とボラ郡ではバイクの適切な管理方法や、DAの異動に対応した新たなファシリテーターの任命について、アダマ郡では、来年度にどのようにバックストッパーを育成していくかなど、それぞれの郡の抱える課題について、関係者間で協議をもちました。
これまでは、郡の中で担当チームを越えて、または自然資源管理チームの中であっても限られた担当以外の郡専門官とは、プロジェクトの進捗や課題について共有されてきていなかったようで、この月例会議の開催とその目的は、郡側から非常に好評でした。また、DAの問題やFTCの運営などは普及局に責任があるため、郡農業事務所が一体となって考えていくべきであると各郡からコメントがあり、いくつかの具体的な解決策も提案されました。

(4)合同モニタリング評価の実施

オロミア州カウンターパートからの自主的な提案を受け、プロジェクトとC/Pによる合同モニタリング評価を6/27-28と7/3-5で実施しました。主な目的は、JICAモニタリングシートの情報をアップデートすることと、指標の達成度が低かった苗木生産の進捗を確認すること、そしてプロジェクト完了後にFFSのオロミア州の制度化を進めるための検討を行うことです。連邦・州・県・郡・JICAエチオピア事務所・プロジェクトが初めて合同でプロジェクトの評価を行いました。
まず6月27・28日に、アダマ郡とボラ郡の評価を実施しました。各郡において、FFSグループ参加農民・非参加農民、FFS・FTC普及員ファシリテーター、郡職員から、PDM指標に係る情報やFFS導入前後の変化や問題点・改善点について聞き取りを行ないました。苗木の生産数について、現状においても両郡でPDM指標を下回る傾向が見られ、グループ間で大きなばらつきがあることが分かりました。FFS導入については、特に、これまで全く農業技術指導を受ける機会のなかったFFS参加農民より肯定的なコメントあり、エチオピア政府の普及システムであるFTCでは情報が届かない地域の農民へも導入技術が伝わっていることが分かりました。また、FFS非参加農民へも情報が共有されている事例も収集されました。残りの郡についても合同モニタリング評価を実施し、最終日の7月5日にとりまとめの会議をします。

II.能力強化に関わる活動

(1)マスタートレーナー養成研修(ToMT(注))ブロック4の実施

ToMTブロック4は6月6日〜10日の5日間で実施しました。参加者は先月と変わらず合計9人で、対象郡のチームリーダーとバックストッパー7人、プロジェクトのナショナルスタッフ1人、オロミア州自然資源管理専門官1人です。
主な研修トピックは以下の通り。
1日目:FFS運営(5月のモニタリング結果共有、FFSファシリテーションの向上にむけて)
2日目:FFSバックストッピング(アダマ郡、Kachama村)
3日目:FFS技術(水資源利用方法、飼料PTDと生産、肥料適用と有機肥料の作り方)
4日目:FFS技術(穀物PTDと生産、野菜の移植とPTD、苗木植栽用の植え穴の準備の仕方とマイクロ集水工の設置方法、苗床管理)
5日目:畑での演習(野菜の移植と苗木移植前の穴掘り準備)
FFS運営(郡の計画にFFS活動を入れるためには、6月月例会議の計画策定、7月のTOMTの講義内容の確認)
DAファシリテーターのパフォーマンスが低迷しているため、向上させるための議論を行ないました。これまでは郡レベルの活動モニタリング項目の中にFFS活動を含めるよう尽力してきましたが、この評価は郡の活動評価には活用されるものの、DA個人の評価とは直接関係していなかったので、FFS指導のパフォーマンスが悪くても、個人の評価には影響していませんでした。そこで、村レベルで年2回実施するDAの評価シートに、FFS活動を組み込み、FFSの進捗に応じて、DAを評価してもらうことができないか、検討することとなりました。
FTC-FFSでの木材生産については北ショワ県での事例があるため、オロミア州からの承認レター等なしで進められる活動です。アダマ郡では、FTCでの木材生産活動に意欲を示していることから、まずはアダマ郡で試行的にFTC委員会との会合を持ち、承認が得られれば活動を進めていきます。
全体的には、各バックストッパー専門分野を生かして、郡内で実施されている先進例や懸念事項などを共有し、それをFFS活動の向上にどのようにつなげていくか建設的な議論を進めています。C/Pから、よりFFSが深く考えられるようになったとの発言が多く聞かれています。

(注)Training of Master Trainers

III.FFS実施に関わる活動

(1)第2ラウンド、第3ラウンドFFSの実施

6月は乾季の特別イベントであるフィールドデイとエクスチェンジビジットを実施しました。フィールドデイは主にFFSの活動進捗が順調なグループが地域の代表者や村人を、FFSに招待し活動を発表するものです。またエクスチェンジビジットは、隣接するFFSグループが相互に訪問し、学びあう場とするのが目的です。各郡が主体的に日程を決め、多くのバックストッパーがこれらの活動に併せて現地を訪問し、アドバイスや農民たちとの意見交換の場をもったと報告があがっています。
注文した種子の調達が完了したFFSグループには適宜、郡のバックストッパーにより、雨季の種子の配布が開始されています。7月末にはほぼ乾季の活動を終了し、雨季の活動へと移行していきます。

(2)Holeta ARCとの協議

6/18にHoleta ARCでIPM(Integrated Pest Management)の専門家であり、FFS活動にも精通している研究者Dr. Bekele Kasa氏との協議の場を持ちました。来月のToMTの講師としてIPMに関する講義を依頼した他、学習ガイド作成のアドバイスをもらうことなどを確認しました。彼自身はFFSの全国普及に向けて更に連邦政府へのPRが必要だと認識しており、今後の連携をしていく第一歩となりました。

IV.その他

(1)アダマ郡付きバイクの調達

アダマ郡で登録料や税金の支払いを確約するレターが発行されたのを受けて、バイク1台の調達を行いました。しかしバイクの販売代理店が登録に必要な書類を作成するために2週間から1か月ほど時間がかかるということで、登録のプロセスに時間がかかることがわかりました。プロジェクトからもフォローをして、早めに使用可能な状態となるようにします。