2015年8月の活動

2015年8月31日

I.プロジェクト管理面に関わる活動

(1)週例会議の実施

8月はToMTが2回あり、その間に後で述べる月例の各種会議が開催されたことから、週例会議は、実質、月例会議の前にその準備を目的として1回のみ実施されました。主な参加者は、各郡自然資源管理チームリーダー、バックストッパーです。月例ファシリテーター会議のタイムスケジュールと役割分担の決定、技術インプットの準備をしました。

(2)月例ファシリテーター会議の実施

各郡で、第2ラウンド、第3ラウンドFFSのファシリテーターを対象に、月例会議を開催しました。主な議題は次のとおりです。

第2ラウンドFFS向け

1)FFSの進捗確認(乾期活動の結果分析等)
2)FFSファイナルセッション(セッション開催数と出席率分析、知識テスト、メンバー自己評価、農地自己評価、卒業後活動)
3)ファシリテーター評価

第3ラウンドFFS向け

1)FFSの進捗確認(Agroecosystem Analysis(AESA)、Today’s Topic等)
2)虫害対策
3)除草

第2ラウンド向けの会議では、通常1日のところを2日間かけて実施しました。これは卒業前の重要な活動であるファイナルセッションについて深く理解をし、十分な準備をするために必要と、マスタートレーナー養成研修(ToMT:Training of Master Trainers)で判断した結果で、初めての試みでした。参加したファシリテーターは、実習にて各トピックのテストや評価で用いる質問を作成し、その批評を受け、修正することで、セッションの準備を進めていきました。
第3ラウンドの会議では、虫害対策や除草の専門的なトピックは、専門官や課題別専門官が担当しました。

(3)月例マネジメント会議の実施

月例ファシリテーター会議後に、3郡で順次、月例マネジメント会議を実施しました。主な参加者は、農業事務所次長、普及チームリーダー、自然資源管理チームリーダー、バックストッパー、自然資源管理チーム専門官、課題別専門官、プロジェクトスタッフでした。
8月の月例マネジメント会議では、第2ラウンドの卒業に関連したトピックを主に協議しました。まずは、月例ファシリテーター会議で明らかになったセッションの開催数が卒業要件に満たないFFSへの対応について、その要因についてバックストッパーからの報告を受けました。記録の不備、ファシリテーターの不在など、それぞれのFFSにより背景は異なるものの、卒業を満たすために、今後どのように対応するかについては、引き続き該当するFFSと共に検討することになります。
次に卒業するFFSを担当するファシリテーター評価について、その方法と日程について合意をしました。この評価の目的は、今後バックストッパーもしくはファシリテーターとしてFFS活動に継続して従事できる、経験を積んだ人材を確保するためです。リベンチュカラ郡では27人、ボラ郡は12人、アダマは2人、合計41人のファシリテーターが評価対象となります。方法は第1ラウンドと同じく、態度や能力など定性的な側面10項目について5段階で評価する方法と、知識や技術レベルを測る筆記試験の2種類となります。前者の評価はバックストッパーとプロジェクトチームのスタッフもしくは日本人専門家の二人が、FFSの現場を視察した上で、FFS開始時からのファシリテーターのパフォーマンスを総合的に評価します。後者の筆記試験は9月の月例会議の際に実施することになりました。
さらに卒業式についての協議を開始しました。前回の第1ラウンドでは、各郡の中心部ですべてのFFSが集まって合同でイベントを開催しました。一方で、卒業式はFFSを実施した村やその周辺の農家へその成果を共有する機会にもなり得ることから、今回は村での開催も検討しました。さらに、地理的に広い範囲でFFSが実施されていることから、卒業式会場へのアクセスも考慮し、リベンチュカラ郡では、3カ所で、ボラ郡は1か所で、アダマ郡は2か所に分けて実施することになりました。準備のための郡、FFS・村、プロジェクト側の役割分担、日程などについては9月に引き続き協議を継続し、準備を進めます。
また、アダマ郡では、干魃による影響について協議、決定がなされました。アダマ郡の一部地域では10年来の干魃に陥っていて、FFSでも雨季に入ってから用意した作物の発芽や生育に大きな影響が出ています。現地視察と各FFSの進捗状況を確認した結果、第3ラウンドの1つのFFS(Kodobe)は、メンバーの生産活動、生活にも影響が出るほど深刻だと判断し、セッションを中断することにしました。雨季セッションは2016年に再開します。2つのFFS(HateとDidimtu)は、一部の作物に影響があるものの、FFS継続は可能であるとして、しばらく様子を見て、悪化するようであれば、9月の会議の際に判断することになりました。

II.能力強化に関わる活動

(1)マスタートレーナー養成研修(ToMT)

1)ブロック6の実施

ToMTブロック6を8月8日〜12日の5日間で実施しました。参加者は10人(対象郡の自然資源管理チームリーダーとバックストッパー7人、東ショワ県自然資源管理チームリーダー1人、オロミア州自然資源管理専門官1人、プロジェクトのナショナルスタッフ1人)でした。
主な研修トピックは以下のとおりです。
1日目:FFS運営(7月のバックストッピング結果共有、月例ファシリテーター会議運営)
2日目:FFSバックストッピング(リベンチュカラ郡、Gachi Daimo村の第3ラウンドFTCにおけるFFS)
3〜5日目:FFSファイナルセッション(活動結果分析、知識テスト、出席評価、メンバー自己評価、農地自己評価、卒業後活動計画、卒業式)
5日目:月例ファシリテーター会議の内容の検討、次回のToMTの計画

今回は第2ラウンドFFSが10月の卒業前のファイナルセッションの時期を迎えるにあたり、ケニアの森林公社から講師を招請しました。ファイナルセッションは、FFS開始時からの振り返りと総まとめ、そしてFFS卒業後の準備が主な内容となります。メンバーの技術や知識の習得を確認する三択テストや、メンバーの意識や技術の実践を確認する質問などをファシリテーターが準備する必要があり、ToMTでは、サブグループで作業をし、その成果品を批評しながらファシリテーターへの技術移転のポイントを学んびました。
このようにToMTで取り扱うトピックは、その直後に各郡で開催される月例ファシリテーター会議で、ToMTの参加者であるチームリーダーやバックストッパーによりファシリテーターを対象とした研修が実施されます。しかしながら、前月の月例会議では、準備不足や時間管理の課題などが見られたため、ToMTでは各郡の経験や教訓を共有する機会を1日目に設けました。準備に関しては、ToMT後の郡レベルの週例会議で、専門官などとも役割分担をして準備をし、教材や資料もプロジェクトチームのみに頼らないというボラ郡やアダマ郡の例が参考になりました。また参加者が遅刻をしたり、時間通りにプログラムを進めることができないという課題については、参加者がルールを作成、合意したことで改善されてきていることが各郡の経験より明らかになりました。

2)ブロック7の実施

ToMTブロック7を8月28日〜1日の5日間で実施しました。参加者は9人(対象郡の自然資源管理チームリーダーとバックストッパー7人、東ショワ県自然資源管理チームリーダー1人、プロジェクトのナショナルスタッフ1人)でした。
主な研修トピックは以下のとおりです。
1日目:FFS運営(8月のバックストッピング結果共有)、教授法、畜産−サイレージ(講義)
2日目:畜産−サイレージ(実習)、協同組合、FFS卒業後活動(収入向上)、農民ファシリテーターFFS
3日目:FFSバックストッピング(ボラ郡、Tuka Langanao村の第2ラウンド農民ファシリテーターFFS)
4日目:FFS卒業後活動(マイクロファイナンス、市場、価値の付加、行政機関によるサービス)
5日目:FFS卒業後活動(個人計画)、月例ファシリテーター会議の内容の検討、次回のToMTの計画

今回は前回に続いて10月に卒業する第2ラウンドFFS向けの卒業後活動に関するトピックが中心でした。卒業メンバーがグループを組織して活動をする場合の一つのオプションとして協同組合が想定されるため、ボラ郡から協同組合担当職員を講師として呼び、その定義や登録の条件などについて学びました。エチオピアの場合は、共同で活動を実施する組織はこの協同組合か零細・小規模企業体として登録することになりますが、それぞれの条件がFFSグループや卒業メンバーに適しているか、より理解を深めるために、次回は後者の担当職員を講師として迎えることにしました。
また、ToMTとしては初めて、農民ファシリテーター主導のFFSを視察しました。来年1月開始を予定している第4ラウンドFFSの農民ファシリテーター養成研修は、現在のToMT参加者が中心となって実施することを想定しています。それに向けて、農民ファシリテーターの実践の現場を視察し、今後のToMTを通じた農民ファシリテーター養成研修の準備に活かすことになります。
FFS視察では同時に、前回のToMTで扱ったファイナルセッションの実践をモニタリングする機会となり、知識を問う三択テストの準備には、バックストッパーの支援が不可欠であることが明らかになり、今後の対応について協議がされました。

9月はエチオピア歴の正月の休暇時期なので、次回のToMTは10月3日〜7日の5日間で実施の予定です。

III.FFS実施に関わる活動

(1)第2ラウンド、第3ラウンドFFSの実施

第2ラウンドFFSは、卒業に向けたファイナルセッションを開始しました。 第3ラウンドは雨季のセッションを継続しています。
アダマ郡では、Iの2)で述べたように、雨不足の影響が大きいFFSでは、活動を一時停止することが決まりました。

IV.その他

(1)オロミア農業局指導部の現地訪問

7月にオロミア農業局へブリーフィングを行った際に、今後の対応策として提案されていた、オロミア農業局指導部による実際のFFSの現地訪問を急遽調整し、30日(日曜日)に実施しました。プロジェクトダイレクター、プロジェクトマネージャー代行の2人が本邦研修で不在なため、県や郡のカウンターパートによる説明がなされたが、プロジェクトの経緯や実際のFFS実施手法に詳しいキーパーソン2名が欠けていたため、理解不足から実態を誤解して把握している面がいくつかあったようです。このため、視察後実施した会合では、FTCとの乖離やメンバー選定の方法等、政策的な側面から見たいくつかの批判的な議論がありましたが、プロジェクトでもFTCを通じた活動を試行していることや、メンバー選定における女性参加の重要性やエンパワーメントの側面を総括から説明しています。オロミア農業局指導部との調整は1年次の後半からプロジェクトダイレクターを通じて試みてきましたが、2年次になって新規に任命されたプロジェクトマネージャー代行が独自に調整を始めるまで実現できませんでした。このため、指導部のFFSに対する理解は遅れており、今後もイベントなどに招待するなどの関与を深め、積極的に議論を進めていく必要があります。
上記のように、指導部によるプロジェクトの実施方針や普及手法に対する理解は完全とは言えませんが、運営指導調査団の訪問前に現地視察が実施できたことは、調査団とオロミア農業局指導部の議論の内容をより具体的なものとするために非常に重要なステップであったと思われます。

(2)JICA本部運営指導調査団対応

11日にエチオピア事務所で行われた、運営指導調査対処方針会議に出席し、実施方針に対するインプットを行いました。また、オロミア農業局等現地調査訪問先等との調整を行いました。