第1回合同調整委員会会議(Joint Coordination Committee Meeting)開催

2018年10月5日

2018年10月5日、ガーナの首都アクラで、第1回合同調整委員会会議(JCC会議)を開催しました。合同調整委員会は、プロジェクトの意思決定機関で、JCC会議は、プロジェクトの全ての関係者が集まり、これまでの活動を報告し今後の活動の承認を得る大切な会議です。今回は、Ghana Health Service(GHS)、JICA関係者の他、保健省、教育病院、Christian Health Association of Ghana(CHAG)、看護師助産師協会、日本大使館から26名の参加を得て、2018年4月にプロジェクトを開始してから半年間の母子手帳の全国展開の進捗と課題、これから研修を実施する重点6郡の選定、2018年後半と2019年年度の活動計画の概要などについて、話し合いました。

会議冒頭、プロジェクトディレクターである、GHS総裁アンソニー・ンシア・アサレ氏は、日本政府のガーナ保健セクターへの支援、そしてガーナの母子保健改善に向けた革新的な取り組みである母子手帳作成支援に謝意を表すとともに、保健省とGHSが、母子手帳を持続させていくためには、プライベートセクターの取り込みを含め、財源確保に強いリーダーシップを発揮していかなければならないと述べました。また、JICAガーナ事務所星弘文所長は、母子手帳全国展開への高い期待に応えていくためには、保健省、GHSのリーダーシップの下、戦略的計画と関係者の協調が重要であると強調しました。

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会議の様子

半年間の成果と課題

会議前半、プロジェクトマネージャーである家族保健局局長パトリック・アボアジェ氏が、プロジェクト開始後半年間の進捗と成果について説明しました。母子手帳プロジェクトには、1)母子手帳の全国普及、2)重点6郡における母子手帳有効活用、3)母子手帳の制度化、と大きく3つの活動の柱があります。プロジェクト開始後6か月は、1つ目の母子手帳全国普及に向け、全国10州でのべ12回の州講師育成研修、郡講師育成研修を行い、総計750名の指導者を育成するとともに、州保健医療関係者に向けた説明会を開催してきました。また、約45万冊の母子手帳を印刷し、全国10州に配布しました。プロジェクトの立ち上げ期であったものの、プロジェクトマネージャーとチーフアドバイザーの強いリーダーシップの下、当初の計画を上回る早いスピードで活動を進め、成果を出し続けてきました。

一方、課題も見えてきました。育成された郡講師は、州講師と協力して、郡内のヘルスワーカーに母子手帳活用に関する研修を実施することが期待されています。しかし、州・郡によっては、財源を確保できず、この郡以下の研修を進められていないという声が聞かれました。その中、いち早くヘルスワーカー研修を実施したブロング・アファフォ州の州保健局長は、州講師が郡に出向く交通費を州保健局が負担し、郡保健局が内部資金を使って研修実施を支援することで、ヘルスワーカーへの研修実施に繋げたという経験を共有しました。

母子手帳全国普及は、ガーナ国家プログラムとして進めているものの一部をJICAのプロジェクトが支援しています。その中で、郡講師育成まではプロジェクトが実施し、各郡のヘルスワーカーへの研修は、ガーナ側が実施することとなっています。プロジェクトは、ガーナ側の自助努力を見守りつつ、このヘルスワーカーへの研修が質の高いものとなり、その後の母子手帳の活用に繋がるよう、母子手帳ユーザーガイド、指導用教材、視覚教材等の作成や全国でのモニタリング・スーパービジョンの実施等、技術的な支援を続けていきます。

重点6郡の選出基準の決定

プロジェクトは、今後、母子手帳研修のフォローアップとして、全国で母子手帳活用状況に関するモニタリング・スーパービジョンを実施すると同時に、2つ目の柱、重点6郡において母子手帳を有効に活用するためのヘルスワーカー研修や母親、住民を対象としたの活動を実施していきます。そこで、今回のJCC会議では、対象州及び重点6郡の選定方法について話し合いました。最初に、対象州がガーナ第2の州であるアシャンティ州に決まりました。さらに、重点郡選定基準についての話し合いが続き、栄養不良の問題が深刻であること、母子保健および栄養サービスを十分に受けられていないこと、郡としてリーダーシップが良好あること、郡内の医療医療機関を利用するケースが多いこと、インパクトを生むため物理的に6郡が近隣であること等が決まりました。後日、これらの基準をもとにアシャンティ州の関係者とともに重点郡を選出することとなります。

プロジェクトは今後、全国10州での母子手帳全国展開活動と並行し、重点6郡での活動を進めていくこととなります。半年間、カウンターパートと10州を廻り研修を実施する中で培われた信頼関係を基盤とし、引き続き精力的に活動を進めていきます。

【画像】全体写真