予算管理分野への短期専門家派遣

2018年9月30日

2018年8月~9月

当プロジェクトでは、農家の農業所得向上のため、現場レベルでの生産や販売に関する改善活動のほか、行政レベル(サバナケット県)がこうした活動を支援するような機能を強化する取り組みも行っています。

その一つが予算分野への取り組みです。

サバナケット県が、農家の取り組みや現場職員が農家への指導を強化するためには、財政面でも安定的に支援ができるようになることが求められます。しかし、もともと予算的に厳しいラオスの状況では、現場での農業支援のために必要な予算がすぐさま確保できるというのはそもそも難しい話です。このため、まずは県の財政状況の概況をつかむことで県にどれだけの予算があるかを確認し、どれだけ農業活動支援に割ける余力があるのかを把握することから始め、次に、そうした予算を安定的に確保することができるかを検討し、それと同時に、県の予算を使って行った活動・事業が、どれだけ役立ったかを関係者ら自らが継続的に把握していくことが重要になります。

こうした活動の第一弾として、齊藤健太短期専門家が2018年8月から9月にかけて当プロジェクトに派遣されました。

齊藤専門家は、サバナケット県農林局の他、サバナケット計画投資局や財務局、また県内の数郡の関係部局に足しげく通い、県としての予算の申請、承認、配分の一連の流れと予算の規模についての情報収集を行い、とりまとめを行いました。それによると、サバナケット県が公共事業に利用できる予算は極めて限られている状況であり、農業分野においても県レベルの裁量によって現場での活動にその都度臨機応変に予算を割いていける程の余裕が殆どないことが明らかになりました。また一方で、郡レベルに配分される予算も十分でないながら、郡レベルで徴収された税外収入(例えば、家畜の健康証明書発行手数料などの収入)は郡の活動に流用することが認められており、予算がない中でもこうした雑収入を活動予算として捻出しているなど、それなりに工夫をしながらやりくりしている現場の状況も見えてきました。

また、9月17日には「予算管理のための能力強化研修」を開催。県・郡の予算関連部局の職員を対象に、サバナケット県計画投資局による予算申請の流れと留意事項の理解促進に加え、事業の費用対効果の簡単な算定方法をミニ・ワークショップ形式で学びました。

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予算管理のための能力強化研修で費用対効果の計算方法を説明する齊藤専門家