リロングウェ市水公社による水道研究発表会への論文投稿

2020年11月13日

本プロジェクトの活動・成果は、マラウイ国内の広報・啓発活動に応用するのみならず、我が国や国際水協会(IWA)世界会議などの国際会議の場で発信することとしています。今回はその一つとして、リロングウェ市水公社(LWB)職員による技術論文を、公益社団法人日本水道協会(日水協)が毎年開催している「水道研究発表会」で発信した事例を紹介します。

「水道研究発表会」とは、我が国の水道関連の産学官関係者が、「事務」「計画」「水源・取水」「浄水」「導・送・配水」「給水装置」「機械・電気・計装」「水質」「リスク管理・災害対策」「英語」の10部門において、各々の研究成果を発表する伝統ある水道界の全国会議です。2015年以降、採用論文数は平均435件/年あり、その内、英語部門では9件/年が採用されています。

論文の提出期限であった2020年5月は、プロジェクト開始から一年に満たず、加えて世界的な新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、日本人専門家がマラウイから離れている時期であったことから、プロジェクト活動・成果の発信は時期尚早と考えていました。しかしながら、LWBと我々専門家との協議を通じて、国際会議での論文投稿・発表はコロナ禍で実施出来得る一つの活動であり、チャレンジしていこうという考えに至りました。

LWBは英語部門へ「LWBにおける無収水削減の取組」と「LWBの浄水処理の特徴」の2編を投稿しました。
専門家からは、単なる業務紹介ではなく、現状分析、課題抽出を行い、これまでの課題への対策・活動、活動の評価をPDCAサイクルとして簡潔にまとめ、読者に海外水道事業の参考となるような文章構成・展開とするようアドバイスしました。LWBの普段からの活動への理解や、主体的な論文作成への努力の甲斐もあり、投稿した2編とも日水協での査読を通過し、論文採用となりました。

本来、2020年度の「水道研究発表会」は11月に宮城県仙台市で開催する予定でしたが、新型コロナウイルス感染防止の観点から中止となりました。LWBが来日しての発表は残念ながら叶いませんでしたが、論文講演集には無事掲載されることとなり、日本での国際会議デビューは成し遂げられました。
JICAの技術プロジェクトから論文を投稿したのはLWBだけであったことも、彼らの自信につながっていくと感じています。

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LWBにおける無収水削減の取組

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LWBの浄水処理の特徴