第4回本邦研修を実施しました

2018年10月29日

本プロジェクトでは、モンゴルのプロジェクト関係者を日本に招き、4回の研修を実施しました。日本での研修は、モンゴルでの技術指導を補完する重要な活動です。参加者が日本の取り組みから示唆を得ることが主な目的ですが、中央省庁、大学、医療/教育/福祉現場の関係者が一定期間、通常業務を離れ、同じものを見、同じ話を聞く中で、モンゴルの課題やその解決方法について議論する機会を創出することも狙いの一つでした。

これまでに52名が下記の研修に参加しました。

第1回

日程と研修の名称

2015年11月16日~12月11日
「障害のある子どもたちの授業づくり」

参加者

労働・社会保障省2名
教育・文化・科学・スポーツ省1名
障害児の保健・教育・社会保障委員会1名
バヤンゴル区障害児の保健・教育・社会保障支部委員会1名
教育研究所1名
特別学校4名

(注)組織名は現在の名称

第2回

日程と研修の名称

2017年1月9日~28日
「障害の早期発見・発達支援・教育」

参加者

労働・社会保障省3名
教育・文化・科学・スポーツ省1名
家族・子ども・青少年発達庁1名
障害児の保健・教育・社会保障委員会3名
バヤンゴル区保健センター1名
フブスグル県障害児の保健・教育・社会保障支部委員会2名
ウランバートル市教育局1名
特別学校4校

(注)組織名は現在の名称

第3回

日程と研修の名称

2018年1月15日~26日
「障害のある子どもの発達支援・インクルーシブな環境での学び」

参加者

教育・文化・科学・スポーツ省1名
家族・子ども・青少年発達庁1名
バヤンゴル区障害児の保健・教育・社会保障支部委員会2名
フブスグル県障害児の保健・教育・社会保障支部委員会1名
フブスグル県保健局1名
フブスグル県総合病院1名
ホブド県家族児童青年発達局1名
オルホン県障害児の保健・教育・社会保障支部委員会1名
モンゴル国立教育大学1名
ウランバートル市パイロット校4名
フブスグル県パイロット校2校

(注)組織名は現在の名称

第4回

日程と研修の名称

2018年9月9日~22日
「障害のある子どもの発達支援・インクルーシブな環境での学び」

参加者

労働・社会保障省1名
教育・文化・科学・スポーツ省1名
職業・リハビリテーション・研修センター1名
障害児の保健・教育・社会保障委員会1名
バヤンゴル区障害児の保健・教育・社会保障支部委員会1名
フブスグル県障害児の保健・教育・社会保障支部委員会1名
ウランバートル市パイロット校4名

(注)組織名は現在の名称

続いて第4回の研修の様子を紹介いたします。

2018年9月9日~22日、本プロジェクト4回目の研修「障害のある子どもの発達支援・インクルーシブな環境での学び」を実施しました。研修第1週目は、ICFや合理的配慮といった概念、障害のある方の地域生活について学びを深めました。また福祉・医療関係者と教育関係者の2グループに分かれ、前者は主に障害の早期発見・発達支援について、後者は教育現場での取り組みについて、講義を受け見学をさせていただきました。

第2週目は、関西における「ともに学ぶ教育」について当事者や支援者からお話をうかがったり、幼稚園及び小学校を見学させていただいたりした他、日本や諸外国におけるインクルーシブ教育について学びました。研修最終日には、参加者が帰国後、取り組みたいことについての発表を行いました。発表の主な内容は以下のとおりです。

参加者

福祉・医療関係者

帰国後実践したいこと

・バヤンゴル区で実施している親子教室に、特別支援教育を専攻している大学生によるボランティア活動を組み入れたい。
・障害のある子どもの生活を紹介するドキュメンタリー映画を作りたい。制作にあたっては当事者の意見を尊重し、その人の良いところなどを紹介したい。
・障害のある人々の自立生活を可能とする仕組みが必要だと思った。モンゴルにも地域における就労の場としてカフェを開きたい。
・区の職員や幼稚園教員に情報共有を行いたい。地域の社会資源をまとめたリソースマップを作成したい。
・母子健康手帳の活用促進や質の高い健康診査の実施に努めたい。障害のある子どもの保護者を対象に情報提供を行うとともに、就園・就学につながるようケース会議を実施したい。

参加者

教育関係者

帰国後実践したいこと

・教育・文化・科学・スポーツ省で策定中の規則に、本研修での学びを反映させたい。
・障害のある児童に適した物理的な環境の整備に努めるほか、周囲の児童との良好な関係を築けるよう留意する。保護者への働き掛けも行う。
・学区内で通学できていない障害のある子どもの把握に努め、障害児の保健・教育・社会保障支部委員会とも連携しながら就学促進に取り組んでいきたい。
・校内支援委員会を結成したい。
・学習に遅れのある児童生徒の補習の場として、子ども発達センターを開設したい。

研修参加者にとって実り多い研修となったようです。参加者を温かく受け入れてくださった皆様に心より感謝申し上げます。プロジェクトは、今後も引き続き、本邦研修参加者を含む現地の関係者とともに、障害のある子どもの発達支援および教育改善に取り組んでまいります。

【画像】

地域作業所カプカプ

【画像】

芦屋市立宮川幼稚園

【画像】閉講式