モンゴル国の農牧業(農業・畜産)は、鉱業に次いでGDPの10.7%を占め、労働人口のおよそ3割が従事する同国の基幹産業である(モンゴル統計局、2017年)。国内に飼育される家畜頭数は約6,600万頭と、同国の人口約300万人の20倍以上となっている(同上)。伝統的に肉類が主食であり、モンゴルの人々の生計を支える上で家畜が重要な役割を果たしてきた。しかしながら、近年、モンゴル草原にも地球温暖化による天候不順の影響が及んでいるとともに、1992年以降の市場経済への移行と家畜私有化により、家畜の飼養頭数が、過去25年間で2,000万頭から6,000万頭台に急増したことで、「過放牧」と呼ばれる家畜過密…