管制技術官の訓練向上

2015年5月14日

ミャンマー航空局における管制技術官の訓練は、調査の結果、職員採用時に行われる基礎研修だけが実施され、既にある規程に記載されている専門研修は実施されていない状況でした。また、訓練機材は古い型式の運用者用機材がいくつかあるものの、管制技術官用の訓練機材は皆無であることがわかりました。訓練規定は、国際民間航空機構の訓練マニュアルに沿ったものが作成されているものの、他の規程類との齟齬が生じており、改訂の必要がありました。
現状調査で明らかとなった問題点の改善策をタスクフォースから提案し、日本側の関係者と議論を続けました。本プロジェクトで調達される訓練機材は限られていますので、その他の必要な機材をどのように確保していくかが、専門研修における大きな課題でした。
改善策を検討する中、約2週間にわたり日本での研修を実施し、ミャンマー側タスクフォースメンバー4人と管制技術官の訓練責任者の計5名が参加しました。国土交通省で管制技術官の訓練概要について最新情報を取得し、関西国際空港の対岸にある航空保安大学校では、新規採用者の訓練内容・方法を学びました。また、仙台にある岩沼研修センターではライセンス制度に関係する専門研修の内容を、また日本で一番離発着の多い羽田空港(東京)では、現場における訓練の内容、方法を学びました。参加者たちは、ミャンマーとはあまりにかけ離れた訓練環境の違いに戸惑ったところもあったようですが、これからミャンマー航空局で構築すべき管制技術官訓練制度の方向性を理解してもらえました。
改善策が決まると、次はそれに沿った訓練制度の構築です。これは将来のライセンス制度を見据えた訓練制度にする必要があるため、どのような専門研修を設けるのか、結論を出すのに時間を要しましたが、ようやく訓練制度(案)が完成しました。今後はその詳細を日本側の関係者と詰めていく必要があります。
一方、2015年度に立ち上げる予定の新基礎研修と2つの専門研修のための教科書を、それぞれ4ヵ月掛けて作成していきます。最初の研修を実施するまでに訓練機材の整備、教官への訓練などを計画しています。訓練に係る技術移転は派手なパフォーマンスはありませんが、日々の地道な活動の積み重ねによって一歩一歩前進していきます。