Myeik空港調査(CNS/ATMマスタープラン策定)

2015年7月7日

本プロジェクトの活動の一つとして、衛星技術を使用した次世代航空保安システム(Communication, Navigation and Surveillance / Air Traffic Management(CNS/ATM) system)の導入計画を策定する「CNS/ATMマスタープラン策定」があります。そのうち、早期に必要な対応がまとめられた「短期CNS/ATMマスタープラン」に反映させるため、ミャンマー国の南方にあるMyeik空港を訪問し、ミャンマー国に最初に導入された指向性アンテナを持つRemote Control Air Ground(RCAG)通信システムと、航法システムの一種であるInstrument Landing System(ILS)及び電源システムの現状を調査しました。
指向性アンテナの高さは15mで、滑走路から240m離れた場所に設置されていました。またアンテナ中心の方位は、西の海上を指向しており、設置時に管制官とパイロットとの間で実施された通信確認は問題なかったとの説明を受けました。しかし、ヤンゴンに戻り管制官に確認した結果、同じ海上でも低高度の航空機との通信や、西以外の地域で時々不通状態が生じることが判明しました。そのため、今後はアンテナ設置場所の移動やアンテナを高くする等の抜本的な解決法について、カウンターパート機関であるDepartment of Civil Aviation(DCA)と技術的な検討を行う予定です。

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西の海上を向くRCAGの指向性アンテナ

Myeik空港にはILSが2013年に設置されていますが、水平方向の電波を送信するLocalizer(LLZ)のコースが、地形等の影響で安定しなかったため、現在は使用されておらず、DCAはILSを他の空港へ移設する計画を持っています。しかし管制塔の管制官や数名のパイロットに確認した結果、Myeik空港の西側の海上には約600の島々があり、その影響で特に雨季は空港上空の気象が激しく変化している模様で、安全な、かつ安定した着陸のためのシステムが必要です。そのためILSを使用できるようにするか、もしくは現在設置されている航法システムのNon-Directional Beacon(NDB)に代えて、精度の高いDoppler VHF Omnidirectional Radio Range/Distance Measuring Equipment(DVOR/DME)の使用を要望していたため、解決策についてDCAと共に技術的検討を行う予定です。

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LLZアンテナ

電源システム自体は古いですが、25年間この空港で勤務している電気技術者の説明を聞くと、電源システムが故障した場合でも、早急に復旧できる技術力・体制があると感じます。

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100KVAエンジン・ジェネレータ

今回の出張で得た情報をDCAのカウンターパート及びタスクフォースメンバーと共有し、今後の方針及び短期CNS/ATMマスタープランに反映するための活動を進めていきます。