ADS/CPDLC専門研修

2016年3月7日

衛星技術を使用した監視・通信システムであるADS/CPDLC(Automation Dependent Surveillance / Controller Pilot Data Link Communication)システムにおいて、通信性能評価及び不具合事象解析の体制をDepartment of Civil Aviation(DCA)内に構築することが、本プロジェクトの活動の一つです。この活動の一環で、2016年2月14日から27日にかけて、国土交通省航空局技術管理センターの宮下短期専門家による「ADS/CPDLC専門研修」が実施されました。

まず宮下専門家は、ヤンゴンArea Control Center (ACC)において、ADS/CPDLCシステムの運用状況やタスクフォースメンバーの活動状況を確認しました。

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機器室で確認する宮下短期専門家

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ミーティング中の宮下専門家

宮下専門家は、PBCS(Performance-Based Communication and Surveillance)やGOLD(Global Operational Data Link Document)等をベースとした通信性能評価や不具合事象解析に必要となるデータリンク通信に関する講義を行いました。
DCAの管制技術官がPBCSモニタリング及び不具合事象解析を実施するためには、ADS-C及びCPDLCメッセージの解析が必要になります。現在DCAはこれらのメッセージの解析に必要な自動デコードシステムを保有しておらず、知見がありません。よって、先ずはデコードに関する理解を深めるため、専門家が手動によるデコード方法を教示し、DCAの管制技術官が実際に課題を解くことで理解を深めました。
また、宮下専門家は、日本の2015年PBCSモニタリングレポートを紹介し、PBCSモニタリングに必要なデータコレクションの作成方法について説明しました。併せて、データコレクションに必要となる情報のうち、通信メッセージの解析だけでは得られない航空機型式や運航者の情報について、フライトプランの情報を利用することを提案しました。
更に宮下専門家は、日本の航空局におけるCRA(Central Reporting Agency)の体制を説明するとともに、日本の不具合報告書を参考に、傾向及び解析事例について説明しました。

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講義中の宮下専門家

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講義中の宮下専門家

今回の研修では、ミャンマーで実際に運用されているADS/CPDLCシステムのログが使用されたため、DCAの管制技術官の理解が深まったようです。
不具合報告については、DCAの不具合報告制度に問題があり、報告書の蓄積がありませんので、今回の研修では日本の例を使用しました。今後は実際にDCAが収集した不具合報告書に基づき、手順に則って解析する研修が必要と考えられます。
ADS/CPDLCシステムにおける通信性能評価及び不具合事象解析関する管制技術官の理解を更に深めるため、2016年7月にも短期専門家の派遣が予定されています。それまでにデコード等の理解を深め、マニュアル等の準備等について引き続きカウンターパートと協議していく予定です。