第2回 ADS/CPDLC専門研修

2016年8月8日

衛星技術を使用した監視・通信システムであるADS/CPDLC(Automation Dependent Surveillance / Controller Pilot Data Link Communication)システムにおいて、通信性能評価及び不具合事象解析の体制をDepartment of Civil Aviation(DCA)内に構築することが、本プロジェクトの活動の一つです。この活動の一環で、2016年7月24日から30日にかけて、国土交通省航空局技術管理センターの宮下短期専門家による「第2回 ADS/CPDLC専門研修」が実施されました。

宮下専門家は、ヤンゴンArea Control Center (ACC)において、2セクターから4セクターになった後の現状のADS/CPDLCシステムの運用状況やHF管制卓等を視察した後、タスクフォースメンバーと派遣期間の活動内容や2月の第一回専門研修後の活動状況を確認しました。

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国際HF卓を確認する宮下専門家

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ミーティング中の宮下専門家

研修では、最初にDCAの管制技術官がこれまでに実施したADS/CPDLCシステムの通信性能監視の手順及び状況についての説明し、宮下専門家が本邦におけるPBCS(Performance-Based Communication and Surveillance)やGOLD(Global Operational Data Link Document)の導入状況について講義しました。

次にDCAの管制技術官が受け取った不具合報告を事例として、管制技術官が見解を説明しました。説明をうけて宮下専門家は、解析の進め方や解析時の注意点等について説明するとともに、更に理解を深めてもらうために、日本での不具合報告書の例をサンプルとした解析実習訓練を行いました。

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システムを使って説明する管制技術官

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解説中の宮下専門家

ミャンマーで運用されているADS/CPDLCシステムに対する不具合報告が1件しかなかったため、今回の研修では十分な事例研究が困難でした。不具合報告のメッセージの流れを理解し、障害個所の切り分けをするためには数多くの事例を解析をする必要があります。そのために宮下専門家は、まず収集しやすい航空管制官からの不具合時の報告を集め、その後航空機の運航者に不具合報告活動を周知し、不具合報告を収集する方法を提案しました。

ADS/CPDLCシステムにおける通信性能評価及び不具合事象解析に対する管制技術官の理解を更に深めるため、来年度も短期専門家の派遣が予定されています。次期派遣までに多数の不具合報告を収集し、デコード等の理解を深め、マニュアル等の更なる準備等について引き続きカウンターパートと協議していく予定です。