マンスリーレポート(2019年1月号)

2019年1月31日

『みんなの学校:住民参加による教育開発プロジェクトフェーズ2』では、初等教育分野と中等教育分野、二つの分野にて活動しています。初等教育分野においては、住民支援の校外学習に効果的なツールを導入することですべての児童の“読み書き”と“計算”の基礎学力改善を目指す『質のミニマムパッケージ』の開発と普及に取り組み、中等教育分野においては、アクセス、格差解消、教育の質の改善など、様々な教育開発課題の改善に貢献する“機能する”学校運営委員会(COGES)モデルの全国普及を進めています。

「初等教育分野」では、現在、インドNGO Prathamより学んだ児童の習熟度別学力改善手法「Teaching at the Right Level(TaRL)」アプローチをプロジェクト開発の「質のミニマムパッケージ」に融合させる試みに取り組んでいます。まず、昨年12月に実施した「質のミニマムパッケージ活動計画策定研修」を受け、12月から1月にかけて2018/2019年度のパイロット対象101校それぞれにて、児童の読み書き算数にかかる学力テスト、テスト結果共有と活動計画策定の住民集会、そして質のミニマムパッケージ活動のファシリテーター選出が進められました。これにより、101校合計約800名、一校当たり平均8名におよぶ教員・住民を含むファシリテーターが選ばれました。今後、この800名がボランティアで児童の学習サポートにあたります。また、各校ともに、児童の活動出席をモニタリングする担当者が住民の中から任命されています。このように、質のミニマムパッケージは、教員、保護者、住民といった学校を取り巻くコミュニティ全体の参加により、子どもたち全員の学びの改善を目指します。

そして、12月末からこの1月には、TaRLアプローチと算数ドリルを組み合わせた「質のミニマムパッケージ」活動のファシリテーション研修に取り組みました。TaRLアプローチは、インタラクティブでバラエティに富んだ活動に取り組むことで、子どもたちが読み書き計算といった基礎を身に着けていく手法です。旧来の算数ドリル活動おいてももちろんファシリテーターの役割は重要でしたが、このTaRLアプローチにおいては、その果たす役割はさらに高まるといえます。その重要性を踏まえ、今回の研修では、児童を招いての活動演習を研修に入れ込むなど、より実践的な内容に取り組みました。この実践演習を通して得るのは、何も技術的な示唆だけではありません。演習活動に子どもたちが目をキラキラさせながら嬉々として参加する姿を通して、教員および住民ファシリテーター、そして研修講師もみな、この活動の効果と可能性を感じるとともに、活動へのモチベーションを高める機会となっています。

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「質のミニマムパッケージファシリテーター講師研修(児童との実践演習)」授業とは違う「楽しい学習」に子どもたちも興味深々

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「質のミニマムパッケージファシリテーター研修風景」算数ドリルに取り組む参加者