AQALプロジェクトからこんにちは!

2018年12月27日

皆さん、こんにちは。私たちはパキスタン・イスラム共和国で技術協力プロジェクト「オルタナティブ教育推進プロジェクト-Advancing Quality Alternative Learning(AQAL)」を2015年9月から実施しています。AQAL(アカル)とはパキスタンの公用語・ウルドゥ語で「知恵」という意味です。AQALプロジェクトではパキスタン人22名、日本人2名の専門家が一丸となり、パキスタンにノンフォーマル教育を普及・定着させるため日々奮闘しております。

AQALプロジェクトの前には、パンジャブ州を対象に、パンジャブ州識字行政改善プロジェクト(2004年7月~2007年7月)、同プロジェクトのフェーズ2(2007年8月~2011月2月)、ノンフォーマル教育推進プロジェクト(2011年4月~2015年3月)が行われてきました。当初は、パキスタン政府だけでなく、教育支援を行っているドナーの間でも、ノンフォーマル教育の重要性や可能性に対する意識はとても低かったのですが、プロジェクト専門家による根気強い啓発活動が実り、徐々にノンフォーマル教育に対する理解を得られるようになってきました。その成果が実り、AQALプロジェクトではパンジャブ州から連邦政府・シンド州・バロチスタン州にまでエリアを拡大して、様々な機関とそれぞれの強みを活かして、AQALプロジェクトとして一緒に活動を進めています。

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パキスタンでは、学校に行くべきとされる年齢(5歳から16歳)の子どもたち(約5100万人)のうち、44%(約2260万人)が学校に行くことができていません。ユネスコの統計によると、これはナイジェリアに次いで世界で2番目に多い数です。またパキスタンでは、15歳以上で文字の読み書きができない人口の割合は58%となっています。(出典:2015年社会・生活水準調査/パキスタン統計局)学習したくてもできない/することができなかった人たちに学習機会を増やすために、AQALプロジェクトはパキスタン政府の関係機関や多国籍ドナー、民間企業と協力して、活動を行っています。

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「私たちは本をよみます」(ウルドゥ語)と黒板に書きました

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カードを使い、仲間と一緒に英語の綴りを勉強しています

AQALプロジェクトの活動は大きく分けて3つあります。

1)ノンフォーマル教育に必要な基盤を整備する
ノンフォーマル教育に必要な政策と実施計画の整備、担当部局の強化に加え、教育へのアクセスと質を担保するための仕組みづくりを構築する。そのプロセスは、ノンフォーマル教育に関わる政府機関やドナー、NGOと共に参加型で実施する。

2)データに基づいたノンフォーマル教育運営を行う環境を整備する
ノンフォーマル教育に関する政策決定や学校運営を効率的・効果的に実施するための情報システムを構築する。また、データ分析・活用に必要な人材育成や、マニュアル作成を通して、国・州・県・村、それぞれのレベルにおけるノンフォーマル教育行政の活性化と連携、データに基づいた長期的な教育計画の実施を促進する。

3)ノンフォーマル教育の質を向上させる
スタンダード、カリキュラム、教材、教育手法、アセスメント等、ノンフォーマル教育を通して、中退者や非識字者が必要とされる教育の内容を充実させるとともに、学校教育との公的なイクイバレンシーを担保する(注)ことで、学習機会とその社会的認証を制度として保障する。

これから、AQALプロジェクトが、ノンフォーマル教育をパキスタンに定着させるために、どのような活動を行っているのかをご紹介していきたいと思います。よろしくお願い致します。

(注)学習者がノンフォーマル教育を修了した際に、公教育と同等の教育を修了したという認証を公的機関が行うこと