ノンフォーマル基礎教育学校の現場から

2018年12月27日

AQALプロジェクトでは、作成したカリキュラム、教材や教授法の効果を確認するため、パキスタン首都のイスラマバードで10校のノンフォーマル基礎教育学校を運営しています。

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イスラマバードのNFE基礎教育学校の1つです

パキスタンの小学校はグレード1(日本の小学校1年生)からグレード5(日本の小学校5年生)の5年制ですが、AQALでは、フォーマル教育の小学校で5年かけて学ぶ内容を、3年~4年で終了できるよう、カリキュラム、教科書や教授法を開発しました。パキスタンでは、小学校の入学年齢を過ぎた子どもや青年がフォーマルの学校で受け入れてもらえる機会はほぼありません。彼らのセカンドチャンスの学びを保証するのが、ノンフォーマル基礎教育学校の役割の1つです。

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授業を行う場所は、ノンフォーマル基礎教育学校の先生の自宅やコミュニティの人たちが集まる場所など様々です。ここで、6歳から18歳までの生徒が日々勉強をしています。AQALの学校では、ノンフォーマル基礎教育学校があるエリアのコミュニティーに住む人々によって、村の教育委員会が作られ、学校での問題を一緒に解決するとともに、貧困など弱い立場にある子どもたちが学び続ける環境を担保するためのバックアップサポートを行っています。

今回は、あるノンフォーマル基礎教育学校とそのコミュニティで起こったうれしい出来事について、先生のお話をお伝えしたいと思います。

「私は、地元の私立学校で教師をしていましたが、JICA-AQALのノンフォーマル基礎教育学校で働く機会を得て、自宅を開放して27名の生徒に教えるようになりました。パキスタン各地からだけでなく、日本など海外からもたくさんの方が私の学校を訪問してくださり、その度に私は自分の仕事に誇りを持つようになりました。また、訪問してくださる方たちとの対話の中から、多くの気づきや学びを得ることができました。

私の生徒たちは私の家の外のスペースで勉強していますが、冬になり、屋外で勉強するのはとても寒く、授業を継続することが難しくなりました。しかし、私の家には他に空いている場所がありません。そこで、村の教育委員会の人たちに相談をしたところ、生徒の保護者たちと話し合う場を設けてくれました。さっそく翌日、保護者に生徒の学習環境について説明しました。すると、私が学校のための部屋を借りて、保護者が月々の賃貸料を負担する、という案が保護者の1人から出ました。保護者全員が賛成をしてくださったので、私は全ての子どもたちが通いやすい近場で、安心して勉強できる環境と広さを確保できる部屋を借りることができました。今では生徒たちは幸せに通学し、授業にもますます積極的に参加しています。」

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教育委員会の様子

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月に1回先生の勉強会を行っています

このように、ノンフォーマルの学校は生徒の保護者や地元コミュニティの理解と応援があって成り立っています。生徒たちの学びたいという気持ち、保護者や地元コミュニティの「子どもたちに勉強をさせたい」という気持ちを応援するため、AQALプロジェクトは活動を続けていきます。