水位計の設置:水位から堆砂量を測り植林・護岸の必要な地域を知る

2017年3月30日

パラグアイ国にあるイグアス湖は、琵琶湖の0.8倍の面積、1.3倍の流域面積を持つ人造湖です。イグアス湖に流入するイグアス川の下流にアカラウ発電所があり、発電機能を維持するのに必要な水量を確保するために、JICAは国家電力公社(ANDE)と共に「イグアス湖流域総合管理体制強化プロジェクト」を実施しています。

イグアス湖周辺は、パラグアイを代表する大豆、小麦等の穀類大穀倉地帯です。40年前はほとんどが森林でしたが、1970年代から機械化農業が進み、この地を開拓し農地に変えて行ったため、森林が消失して土壌流亡が起こりました。同時にイグアス湖における堆砂=湖水量の低減が問題視されるようになりました。しかしながら、これまでどのくらいの量の土砂流入が起こり、どのくらいの量の堆砂が湖に起こっているのか、正確な情報はありません。

プロジェクトでは、科学的に浸食、堆砂の経年変化をとらえるための現地調査、湖底の堆砂調査を実施しています。これと並行して、イグアス湖に流入する主要河川の堆砂量を調べ、流域の浸食・堆砂状況を知ることで、どの河川の流域に重点的に植林・護岸をする必要があるか、知ることが出来るようになります。今般このデータを得るため、イグアス湖に流入する主要4河川の一つであるYHU川に水位計を設置し、データ収集・利用に係る技術移転を行いました。

今後、主要河川にANDEが水位計を設置し、浸食・堆砂の状況についての各種データを継続的に蓄積していく予定です。ANDE自身が科学的なデータを基にイグアス湖流域の管理を主導し、植林、護岸を適切に行うことで、安定的な電力共有が行えるようになることを期待しています。

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イグアス湖情報

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緑色のところが森林 1970年と2000年の比較では、赤丸のイグアス湖周辺の森林が大幅に消失している。(出典:WWF)

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イグアス湖に流入する主要4河川の一つであるYHU川の水位(水量・堆砂の推量)を測定する。