台風に強い養殖生簀、女性組合によるミルクフィッシュ加工で地域復興を パート2−女性たちに新たな光が差し込む−

2016年1月18日

2015年に入りプロジェクトの支援でSamar州Basey町の女性たちが組合を作り、地元で養殖を再開したミルクフィッシュの加工を始めています。台風ヨランダ前は家事に専念していた女性たちが、台風ヨランダからの復興のため、自分たちで収入を得ようと立ち上がりました。日本人専門家たちが圧力鍋を使った「ソフトボーンミルクフィッシュ」の作り方を指導しています。頭からしっぽまで丸ごと食べられる付加価値を加えた商品は、現地で徐々に市場を開拓しています。現地の貿易産業省の出先事務所からの助言もあり、女性組合ではソフトボーンミルクフィッシュのブランド化も試しています。「Japan」、と対象支援地域の州名「Leyte(レイテ州)」、「Samar(サマール州)」からそれぞれ頭文字をとって、ブランド名を「JALEYSA」として販売しています。

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ブランド名を話し合う女性組合メンバー

プロジェクトと現地の水産資源局事務所などが販路拡大の為に情報を収集し、営業を行い、組合の女性リーダーが商談します。今ではSamar州北部や、隣の東Samar州の複数の販売店にまでソフトボーンミルクフィッシュを卸ろすことができるようになりました。

また、先行して加工を開始したLeyte州Tanauan町の女性組合とも連合を作り、まとまった量の受注があった際には、相互に連携して出荷する体制、競合するのではなく、相互に補完し合った広域の組合連合ができつつあります。

BaseyとTanauanの5つの漁村女性組合の連合は150名のメンバーを擁します。理事長に選出された人はかつて公務員として働いていました。Baseyの漁村女性組合の中には、ヨランダ以前から女性組合の活動をしていた人もいます。二つの女性組合では、今までの成果が認められ、労働雇用省の資金支援が得られることになりました。また、科学技術省と東ビサヤ大学の食品加工科から水産加工品の共同開発協力の申し出もきています。女性たちにとって、台風ヨランダは家族や近しい人を失う大変つらい経験でしたが、連合の結成により、彼女たちに新たな光が差し込んで来ています。

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加工したミルクフィッシュが1尾丸ごと入っている包装

経済的理由で子供を就学させることができなかった組合のある女性からは、「収入を得るようになって、今では子供を学校に通わせることができるようになった。」という喜びの声を聞くことができました。また、女性たちが加工活動を開始した当初は収入がないため、夫から「妻は何をやっているんだろう?」と半信半疑の対応をされていたそうです。しかし、ミルクフィッシュ加工品が徐々に売れ始め、収入が得られるようになると、「夫や家族は自分たちの活動を温かく応援してくれるようになった。」と女性組合のメンバーの一人が話してくれました。今後は、より収益率を上げるため、行政と組合が協働して民間からの投資の呼び込みにも取り組みます。

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ミルクフィッシュ加工品試食会の準備

台風で大きな被害にあったBasey町の女性たちは、台風前よりも災害に強い地域社会の復興に向けて、力強く前進しています。