第7話:議員の肖像

2010年7月23日

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工事現場近くで砂を掘り集める女性たち。

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工事の進捗は50パーセントを越えた。

6月より本格的に建築・改修の始まったパイロットプロジェクト。いよいよ本格的な雨期に入る7月前半は、中間モニタリングが主な業務となった。

支払いをするために工事の進捗が50パーセントに達しているか確認するのも中間モニタリングの目的のひとつだ。契約締結までに予定以上に時間がかかり、豪雨によるさらなる工期の遅れを危惧していたが、そんな心配を吹き飛ばすかのように、各ワードの議員たちは雨にも風にも負けず、どの案件も着実に工程を進めている。

例えば、以前写真で紹介した一本道と橋の修復をするパイロットプロジェクトだ。この地区の議員カヌー氏は普段は穏やかな笑みを湛えた、とても温和な紳士だ。農繁期で忙しい時期にコミュニティからの労働力を動員しなければならない案件だけに、彼の指導力が心配されていた。

いざ現場を訪れてみると、その熱気に圧倒された。ものすごい数の人だ。驚いたことにそのほとんどが女性たちだ。彼女たちは技師の指導の下、もくもくと道路工事用の砂を掘り崩していた。さらに驚いたことに、当初は計画に含まれていなかった小舟用の桟橋にまで着工していた。カヌー議員は少し得意気にいつもの微笑みを浮かべていた。進捗率は優に50パーセントを超えていた。

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井戸改修現場にて。右から2番目が久保嶋専門家。

そんなある日、彼の家のトタン屋根が軒並み突風で飛ばされてしまった。相当落ち込んでいるんじゃないかと心配したが、拍子抜けするような相変わらずの微笑みだった。彼はそれこそ雨にも負けず、風にも負けず、今日も物静かに現場の監督を行っているに違いない。

(久保嶋専門家)