第一ラウンド終了 協力対象全32ワード委員会への説明会・初期研修

2010年3月7日

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熱意を持ってワード委員会代表者に説明する

シエラレオネが進めている地方分権。地方行政に権限が委譲され、県の地域開発予算は少ないながらも直接県議会に配分されている。より住民に近いところで地域開発を効率よく進める。しかし、実践はまだ始まったばかり。本プロジェクトで県議会と住民が「やりながら学ぶ」プロセスを強化していく。これから何度も何度も重ね塗りをし、行政と住民が協働して地域開発に取り組む体制の強化を図る。

2月中旬からはじまった、住民代表者であるワード委員会(カンビア県25ワード、ポートロコ県7ワードの全32ワード)代表者へのプロジェクト説明会・初期研修が3月7日をもって関係者の尽力により終了。導入である第一ラウンドが無事に終わった。

同説明会・研修では県職員が主体となって、県議会とワード委員会が協働する地域開発の概念、県議会とワード委員会それぞれの役割、相互の協力体制、事業計画作りから実施の具体的な流れなどをわかりやすく説明した。県職員から今回の説明会・研修にあたり手当ての要求もなく、非常に主体的なな取り組みが見られた。なかなかつかまらない県職員の何人かをしっかりマークして協議・準備してきた専門家の尽力も大きい。

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説明会・研修の会場も様々。

また、開始当初は、県職員から参加者への交通費や食事代など他のドナー並みに出すように促された。この手の話はどの国でも出てくる話であるが、期限のあるプロジェクトとはいえ、今回の活動は一過性のものではなく、自分たちの地域開発のために継続して行っていくものであることを伝え、必要最低限の支援で合意した経緯もある。

一連の説明会を通じて、参加者からは事業の実施形態について同じような意見が相次いだ。「業者を使って事業を実施するよりも自分たちで事業をやったほうが費用対効果が高い。業者は住民と相談もなく事業を進めて、完了しないこともあった」という主張。一方、県職員からは「県議会が住民グループに事業を委託した例は過去にない。県議会が調達した業者に委託したほうが確実に事業を実施できる。住民に依頼しても約束どおり人が集まらなかったこともある。」という見解もある。これも行政と住民相互の信頼関係が薄いからか。いや、これまでほとんど協働した経験がないといってもいい。

本プロジェクトでは、住民の主体性を重視している。また、県議会職員の主体性も重視している。事業実施に当たり住民の意向がすべて反映できるとは限らない。必要なプロセスがある。県の開発目標との整合性、技術的な実施可能性、維持管理の可能性、期限内に実施できる可能性、公共性など県議会が候補事業を精査する重要な項目がある。

さあ、これから住民の主張と県議会の見解の相違をどのように調整し、行政と住民がどのように信頼関係を築いていけるか。これから始まるパイロット事業実施が行政と住民の能力向上の機会になる。