パイロットプロジェクト計画策定始まる

2010年4月11日

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ワード委員会に事務所はない。強い日差しを避けて、ワークショップは木の下で行うこともある。

シエラレオネの本格的な雨期は通常7月から9月までと言われている。雨期には現場へのアクセスが悪くなるばかりでなく、住民は農作業で忙しくなる。そこで、本プロジェクトの事業も雨期を避けて実施するよう計画している。

支援対象である計32ワード(カンビア県25ワード、ポートロコ県7ワード)のうち、カンビア県9ワード、ポートロコ県3ワードが来る7月の雨期までにパイロット事業を実施する対象地域になっている。残りのワードは雨期明けに事業を実施する予定である。

これまでに、各ワードで、ワード委員会メンバー、パラマウントチーフ、セクションチーフなど地元有力者、住民代表者を招いてパイロットプロジェクトの計画策定が行われた。プロジェクトの支援には条件がある。主なチェック項目としては、住民と行政で維持管理できるもの、技術的に実施可能なもの、一定期間内に完了できる事業規模であること、公共目的であること、女性・男性共に公平に裨益するもの、などがある。

これらのスクリーニングを経て、住民代表者により候補案件としてあがってきたのは市場倉庫建設・市場整地、農道整備、井戸(手押しポンプ)改修、ヘルスポスト建設、学校改修。幅広い分野だ。

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市場倉庫候補地で計測する県のエンジニア

県議会は地域開発事業実施の調整役・牽引役として県にある農業、保健、水、教育、道路セクターの事務所と連携し技術的な支援を受けながら、事業の設計・積算を進め、事業計画を具体化していく。これからは特に県議会の他事務所セクターとの調整能力、調達などの計画実施能力を強化していくことになる。

これが「言うは易し、するは難し」。専門家チームだけで行えばどんどん進むところだが、このプロジェクトは地域開発を県議会職員と地域住民の協力によって進めるもの。現実には県議会と県事務所の連携、同じ県議会職員間の情報共有が乏しいことがある。いかにして、県議会職員に動いてもらうか。県議会職員、県議員、ワード委員会メンバーとの日程調整も大変だ。突然キャンセルということもある。粘り強くあれこれ知恵を出して県議会に働きかけていく。

2県で事業を進めているため、両県が同じスピードで進むことはありえない。本プロジェクトでは今のところポートロコ県のほうが事業準備が進んでいる。ポートロコ県議会の職員は口をそろえて言う。「ここでがんばればより多くの協力を外部から得ることができるかもしれない。それが地元の開発につながる」、と。ポートロコ県は本プロジェクトで初めて支援開始した県である。それだけにみな張り切っているように感じる。また県議会議長、県のチーフアドミニストレターのリーダーシップも大いに発揮され組織としてまとまっていることも大きな要因だ。これからはいいものをどんどん伸ばし、そうでないものを引っ張っていく。その意味ではこれまでJICAの支援の入っていなかったポートロコ県議会がカンビア県議会を引っ張っていく可能性が高そうだ。