地域開発パイロットプロジェクト10件の契約署名

2010年6月6日

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改修が必要な小規模橋。住民は安全に通行できるアクセスを確保したい。

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左手が新校舎建設予定地。右にみえる土壁の建物が現在の校舎。

5月下旬、6月初旬にポートロコ県で2件、カンビア県で8件のパイロット事業実施契約が県議会、住民代表グループ、プロジェクトの間で交わされた。契約署名式では地元メディアの取材を受け、同日の夜テレビ、ラジオでも放送された。契約した事業の内容は農道・小規模橋改修、井戸改修、学校改修といった生活基盤改善、市場倉庫建設などの経済基盤改善である。住民が選択した案件を、住民が主体となって実施する。これから現場で目に見える地域開発事業が始まる。

最貧国のひとつであるシエラレオネ。2002年の和平合意以降、雇用創出、特に若者の雇用が大きな課題になっている。本パイロットプロジェクトでは地域住民、特に女性を含む若者による地域開発を推進する。地元メディアも本プロジェクトにおける若者・女性の活躍をモニターしている。

事業契約にいたるまでのすべてのプロセスにおいて専門家チームは県議会に働きかける。住民が希望する事業と実行可能・維持管理可能な事業計画のすり合わせ、事業の計画策定、設計・積算にかかる道路局、水、保健などの県事務所との協議、県議会との契約書内容の協議などなど時間と労力がかかる対応の連続だ。しかし、開発目標と計画が関係者間で共有されていれば、道は様々でも最終的に同じ目的地に辿り着ける。

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カンビア県県議会での契約署名式。

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ポートロコ県県議会での契約署名式。

プロジェクト専門家からあがってくる懸案事項について、アポ無しでも会っていただける本省の大臣と何度か協議することもある。大臣自らカンビア県県議会議長に電話で助言をしていただき、物事が前進した。本省、県議会、住民自身のアクションに対してプロジェクトは支援をする。財政支援とは違う技術協力の考え方が徐々にではあるがカウンターパートに浸透しつつある。

今後もひとつひとつの懸案事項を解決していくために我々専門家チームは本省、県議会関係者、ワード委員会、住民の背景、現状や考え方をより深く知ることが大切であろう。

コミュニティによるパイロットプロジェクトはスタートを切った。今後、県議会と県開発計画で最優先課題である農道・カルバート改修工事準備が始まる。各コミュニティによる活動を点とすると、点と点をつなぐアクセス改善の計画策定・実施を行う。包括的な地域開発は徐々に前進していく。