プロジェクト進捗状況:県議会のわずかな前進も見逃さない姿勢

2010年10月4日

今年度実施予定の主な事業
主な事業予定進捗状況
コミュニティ開発パイロットプロジェクト32件(社会・経済基盤整備)フェーズ1&2(11件):7件完了、4件実施中
フェーズ3&4(21件):計画策定開始
フィーダー道路・カルバート改修工事12月工事契約予定サイト選定中
ウガンダ北部プロジェクトとの技術交換9月19〜24日実施中

早いもので、前回のプロジェクトニュース発行から2ヶ月が経ちました。9月に入り橋本理事一行受け入れ、JICA新人職員福原さん、苗村さん2名の研修受け入れ、19日にはウガンダ技術交換のため8名の参加者がシエラレオネを発ちました。また、宿谷調達制度・道路計画専門家、久保嶋コミュニティ開発専門家が着任し、さらにプロジェクトに活気が出てきました。

パイロットプロジェクトは非常にタイトなスケジュールの中、11件中7件の事業が完了しました。事業計画策定から完了までに、それぞれのプロジェクトで県議会議員をはじめワード委員会、コミュニティリーダーの活動にドラマがあります。我々専門家は県議会と住民とのひとつひとつのプロセスを追い続け、適切な助言をしていきます。そして県議会職員や住民の間でのわずかな前進も見逃さず、何ができるのか、何が出来るようになったのか、というポジティブな視点を持ち続け、長所を伸ばすよう心がけていきます。

【写真】

建設中の市場倉庫。

パイロットプロジェクトのひとつである、市場倉庫を建設しているコミュニティでは、何者かに建設中の倉庫を破壊される事件がおきました。住民への情報周知が徹底されていなかったのか、私的な倉庫を作っていると誤解した者による事件との見方もありました。この事件後、県議会議長が逮捕された若者から事情を聴取し、地域のリーダーであるパラマウントチーフと共に住民へプロジェクトの説明がなされ、誤解は解けました。その後、コミュニティと県議会から破壊された箇所の修復費用を本プロジェクトで捻出できないか打診を受けました。我々からは、県議会と住民の間で検討するよう継続して働きかけたところ、県議会からコミュニティに対して修復費用のローンを出すこととなりました。ローン返済は市場での売上金から捻出することで話がまとまり、工事再開のめどが立ちました。建設中の倉庫の完成後は、隣接する市場で売られる農産物が保管され、地域の経済活動に大いに貢献する予定です。住民に信頼される地方行政のサービスをひとつひとつ築く支援を続けていきます。

農道・カルバート改修工事の準備は県議会、道路局と協力し、工事対象箇所の選定が進んでいます。着任されたばかりの宿谷専門家には、現場踏査、道路計画策定の助言からしていただいています。現地踏査では車両が溝にはまり立ち往生して抜け出すのに1時間以上かかったこともあります。

【写真】

調査で溝にはまったプロジェクト車両。

【写真】

雨期でぬかるんだ道。

道路選定の基準として、学校、ヘルスポストなど公共施設へのアクセス改善の可能性、主要道路との接続性、交通量、裨益者の数(農産物の運搬など農業のポテンシャルとの関連性も含む)を考慮するように助言していく予定です。

ウガンダ技術交換の出発準備には、団長である本省副大臣の音頭で現地プレゼンテーションのリハーサルが行われました。専門家の働きかけもあり、参加者である本省、県議会副議長および職員は多忙な中、シエラレオネの歴史、県議会の役割、地方分権の成果・課題などわかりやすいプレゼン資料を作成しました。これらは我々専門家チームにとっても非常に有益な資料です。また、本番さながらのプレゼンを行い、内容について真剣に検討する様子を見て、ウガンダ側関係者の皆さんの協力を得て、技術交換の企画が実現できてよかった、と実感しました。県議会職員からは「本プロジェクトで供与していただいたコンピューターを駆使してプレゼン資料を作った」と聞きうれしくなりました。技術交換の詳細については、次回のプロジェクトニュースでお伝えする予定です。