ベトナム国会の運営改善に向けた研修

2019年11月12日

今年8月、ベトナムの国会本会議の運営改善を目指した研修が東京で1週間にわたって行われました。参加したのはベトナムからの研修員14人。現職のベトナム国会議員6人のほか、ベトナム国会の運営を支える国会事務局の職員です。

ベトナムでは現在、国会本会議の運営をめぐって、以下のような課題が指摘されています。

・経済の発展にともない、国会が決定しなければならない事項が増えている。しかし、国会に提出される法案には不備が多く見られ、必ずしも質が確保されていない。国会会期の延長が一般的に困難な中、法案の質の向上が急務となっている。
・議員以外に仕事を有するいわゆる「兼任議員」が多く、法案を審議する国会の委員会にスケジュールの都合上、出席できないケースがある。
・国会が一度決めた法律の制定計画が後から変更されたり、撤回されたりすることがある。

こうしたなか、研修では、主に衆議院事務局が、日本の国会の現状や経験を学べるプログラムを企画しました。このうち、「日本の国会本会議の運営」についての講義では、衆議院事務局の議事部の職員から、本会議での審議の流れや採決の方法などについて説明を受けました。このほか、国会の委員会運営や法制局の役割をテーマとした講義を受講しました。

また、一行は実際に国会の中を見学してまわったほか、国会議員それぞれに用意される国会議員会館の事務所も視察しました。

研修の最終日には、4人の日本の国会議員と意見交換の場が設けられ、ベトナムの議員から、「自身の活動をどのように有権者に伝えているか」という質問が出され、日本側が「SNSやチラシの配布などで積極的に伝えているが、一方的にメッセージを送るのではなく、コミュニケーションをとることを心掛けることが重要」と答えていました。

研修に参加したベトナムの議員や国会事務局職員からは「日本の国会運営の制度や実情を知ることができた。帰国後は研修で得たことを組織内で共有し、今後の改善をはかっていきたい」と話していました。

JICAでは、2014年からベトナムの国会事務局を支援するプロジェクトを実施しており、現在その第2フェーズを実施中です。国会本会議や委員会の機能の改善や、議員の立法能力の向上に向けた支援などを行っています。来年度は国会の委員会に焦点をあて、引き続き、日本の現状や経験をもとに、その改善を積極的に支援していくことにしています。

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