第5回内部研修セミナーの開催

2020年7月30日

2020年7月30日において、小売分野における競争法の運用をテーマとして、第5回内部研修セミナーを開催しました。

今回のセミナーでは、当方から、2016年に公正取引委員会が排除措置命令を行った再販売価格維持行為に関する事件の概要及び2020年に公表された当該事件に関する事後検証の結果について、また、「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」(1991年7月公正取引委員会事務局)のうち再販売価格の拘束に関する考え方について説明を行いました。

また、競争消費者庁経済集中規制課の担当官から、小売分野における事業再編等の動きについて、同庁が2004年競争法(旧法)に基づいて評価を実施した経済集中案件のほか、2018年競争法(現行法)下での最近の経済集中案件を例に説明が行われ、職員間における経験や知識の共有を図りました。

なお、ベトナムの競争法は、再販売価格維持行為について、市場支配的地位にある事業者が最低再販売価格を拘束し顧客に損害を生じさせる又はそのおそれがある場合には当該地位の濫用行為(競争法第27条第1項第b号)に該当し規制されるとしているほか、川上の事業者と川下の事業者との間での価格に関する協定(同法第11条第1項)に該当するものであって市場競争を相当程度制限する効果を有する又はそのおそれがある場合には規制されるとしています(同法第12条第4項及び第13条第1項、細則政令(Decree No.35/2020/ND-CP)第11条第2項を参照。)。また、後者について細則政令第11条第3項第b号は、競争制限協定に参加する異なる取引段階の事業者それぞれの市場シェアが15%未満である場合には上記競争制限的効果がないものとみなす旨規定しています。

このため、ベトナムの競争法は、どちらかというと、いわゆるブランド間競争をより意識した規制となっているように思われます。

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研修セミナーの様子