JICAボランティア ソロモン日記(24)

2019年5月15日

青年海外協力隊・松原 花(水産開発)

2017年度2次隊、水産開発隊員の松原です。私はソロモン諸島の首都ホニアラにある漁業・海洋資源省で、地域が主体となった水産資源管理(Community Based Resource Management CBRM)の促進のため活動しています。

ソロモン諸島は太平洋に浮かぶ島国で、多くのコミュニティは海に面しています。そのため、魚を捕って食べる・売る、貝殻から結納や罰金のための伝統的な貨幣(シェルマネー)を作るなど、日々の暮らしが海と深く関わりを持っています。現在は沿岸漁業法で規制されていますが、地域によってはイルカの歯を貨幣として使ったり、ウミガメやジュゴンを食べる習慣もあるようです。

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市場で売られる色とりどりの魚

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市場で売られる貝貨(シェルマネー)のアクセサリー

そんな「海と共に生きる国」ソロモンですが、近年の急速な人口増加や現金収入の需要の高まりといった理由から、水産資源の過剰漁獲、いわゆる「捕りすぎ」の現状が問題視されています。
ソロモンは地理的・文化的に多様な国であることから、水産資源の持続的な利用のためには、国全体で順守すべき沿岸漁業法のほかに地域ごとの細かな漁業のルール(水産資源管理計画)を作ってもらう必要があると考えられ、地域が主体となった資源管理計画づくりをサポートするため、私の配属先である水産資源管理(CBRM)課が設立されました。

私は活動の中で、水産資源管理の啓発と、コミュニティでの資源管理研修のサポートを行っています。
啓発活動については同僚と一緒にラジオ番組でお話ししたり、学校へ出向いて水産資源の利用と管理について出前授業をしています。特に学校での出前授業についてはこれまで取り組まれてこなかった活動であったため、昨年はプログラムをいくつか作成して試験的に実施しました。2019年は継続した授業の実施のほか、子ども向けのポスターと作文のコンクールを実施予定です。

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水産資源について発表をする同僚

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ホニアラ市内の学校にて、ワークシートに取り組む生徒たち

また、コミュニティの研修では水産資源管理計画作成に必要な知識を紹介し、管理計画作成のためのアクティビティを行います。
いつ/どこで/どのような魚が捕れるか?といった実践的な知識についてはもちろん地元の漁師の方が詳しいですが、例えば「成長に伴って魚の性別が変化する」ことや「新月/満月に魚が集まっているのは産卵のためなので、狙って漁獲してはいけない」ことを伝えると、驚きの声が広がることも多いです。伝統的に継承されてきた知識と、私たちの持ちこんだ科学的な知識が組み合わさって、その地域に合った管理計画が作成されることを、私たち水産資源管理(CBRM)課職員は強く願っています。

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訪問したコミュニティにて発表を行う様子

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資源管理計画作成のためのアクティビティと議論を促す同僚

ソロモンの人びとにとって、海と海の生き物たちは誇りであり、生活に不可欠な存在です。残り約6カ月の活動を通じて、美しい海と魚を持続的に利用するためのお手伝いを少しでもできるよう、精一杯活動に励みたいと思います。