JICAボランティア ソロモン日記(34)

2019年10月4日

青年海外協力隊・吉岡 三貴(看護師)

2018年1月から、ソロモンの首都ホニアラにあります保健・サービス省NCD(Non-communicable diseases:非感染性疾患)課で看護師として活動をしております吉岡三貴です。今回はソロモンでの私の2つの活動を紹介させて頂きます。

1.NCD対策

NCDとは、糖尿病や高血圧などいわゆる生活習慣を改善することによって予防できる疾患のことです。以前はソロモンの死因の上位はマラリアなどの感染症でしたが、現在は食文化の変化などによりNCDが上位を占め、4人中3人がNCDが原因で亡くなっています。NCD患者は増加する一方で、中でも糖尿病患者の増加は著しく、首都にある国内唯一の国立病院では、週に3~5人の糖尿病患者が下肢を切断していると報告されています。私は、これらの予防に向けて、同僚やWHOスタッフ、地方のNCDクリニックに配属されているNCDコーディネーター、また保健省や病院で活動する隊員と協力して、様々な活動を行っています。

私の主な活動は、省庁やコミュニティ、教会、健康に関するイベント会場等で、健康診断の実施や予防のための啓発活動、啓発に使用する資料の作成やイベントの企画・実施等です。
日本では、定期的に健康診断を受けることを法律で義務付けていますので、子供の頃から自分の身長や体重を知り、生活習慣病を予防するための保健指導を受ける機会があります。しかし、ソロモンにはこのような法律はありません。体調を崩したり、妊娠して病院を受診しない限り、自分の身長や体重、血圧などを知る機会がほとんどありません。
様々な場所で健康診断や啓発活動を実施する中で、自分の健康状態に関心を持ち、測定を希望する人が多いと感じました。NCD患者の早期発見・早期治療のためにも、もっと頻繁に健康診断や啓発活動が実施できればいいのですが、実際には実施するスタッフや物資が十分足りていない、交通のアクセスが悪いために受診が難しい等様々な問題があり、そう簡単に実施数を増やすことはできていません。
対策はすぐには進みませんが、「We can beat NCDs!!」を合言葉に、NCD課全員がチーム一丸となって、ソロモンのNCD対策に挑んでいますので、私もその一員として、引き続き活動に励みたいと思います。

また、運動不足改善のための活動の1つとして、昨年の9月から、配属先の駐車場で、毎朝9時に体操を行っています。昨年までは日本のラジオ体操を行っていましたが、今年からは他部署で活動していた体育隊員が製作したソロモン向けオリジナル体操を行っています。現在はまだ隊員が中心となって実施していますが、今後は現地スタッフが主体となって継続してもらえるよう働きかけていきながら、更にはラジオやインターネットを利用してこの体操を普及させたいと考えています。

【画像】

教会で健康診断を実施している様子

【画像】

配属先で同僚達とラジオ体操をしている様子

2.ソロモンでのうどん作り

私は香川県出身なのですが、香川県の特産品である「讃岐うどん」を世界に広めるために、ソロモンに派遣される前に「うどん打ち修行」を受けました。これは香川県青年海外協力隊を育てる会が主催しており、うどん屋の社長が直々にうどんの打ち方を教えてくれるもので、この時渡された麺棒とうどん打ちの手順書を持ってソロモンに来ました。
ソロモンの人だけではなく、ソロモン在住の日本人とも一緒に打ったり食べてもらっていますが、ソロモンでうどんを食べる機会があまりなかったり、うどんを打ったことがない方が多いのでとても喜ばれます。ソロモンの人にうどんを打ってもらった時は、生地を伸ばすことや切る作業にとても驚いていました。

【画像】

友人と自宅でうどんを打った時の様子

【画像】

友人と自宅でうどんを打った時の様子

また、今年はJICAボランティアがソロモンに派遣されてちょうど40周年になる記念の年で、7月に記念イベントを開催しました。その時に食品ブースでカレーとうどんを紹介しました。前日に約40玉を打ち、当日は120人に、ねぎと生姜をのせて、香川県から送ってもらったつゆをかけたぶっかけうどんを試食してもらいました。うどんを通して多くの人々と交流を深めることができていると感じています。

【画像】

40周年記念行事でうどんを紹介した時の様子

【画像】

40周年記念行事でうどんを紹介した時の様子

任期は残り3ヶ月となりましたが、引き続き、日本とソロモンの相互理解を深めることや生活習慣病患者の増加を防ぐための活動に全力を尽くしたいと思っています。