96. 複合的閉鎖循環システムでのエビ養殖モデル研修会実施
本プロジェクトのモデル7「メコンデルタにおける気候変動と塩水遡上に適応した先進的かつ持続可能な水産養殖システムの開発」は、メコンデルタ地域、さらにはベトナムにとって重要なエビ養殖の持続的発展に資する研究を展開しています。エビ単独の養殖では、水や底泥の環境悪化や病気の発生がしばしば深刻な問題となります。これらの問題を抑えるために、エビ養殖区に特殊な濾材を用いた浄化区と魚や海藻の養殖区を連結させた複合的閉鎖循環システムを構築し、消毒薬や抗生物質を使わず多様な生物の総合的作用によって水質を維持しながら病気を防ぐ工夫をしています。
今回は、実験サイトであるソクチャン省ビンチャウで養殖を行う農家を対象として、これまでの研究の成果をシェアする形で研修会を実施しました。研修は、モデル7のリーダーであるViệt先生(カントー大学水産・養殖学部)と、同モデルと連携して行っているモデル11「インダストリー4.0による環境モニタリング技術の農業・養殖業への応用」リーダーのThái先生(カントー大学情報通信技術学部)が講師となり、座学と実際のモデルの見学を組み合わせて行いました。
参加した養殖農家は、現地視察や座学に熱心に取り組み、特にモデルの経済性などについて多くの質問が寄せられました。講師のViệt先生、Thái先生は具体的な数字を挙げながら、これらの質問に答えていました。
5年間の本プロジェクトは3年目に入っています。今後、研究をさらに進めると共に、成果の社会実装を目指し、様々な分野の研修会を積極的に開催していきたいと思います。
関連参考プロジェクトニュース:
養殖モデルの現場で複合的閉鎖循環システムの仕組みを解説するViệt先生(写真左)
水質計測装置の実物を見せながら環境モニタリング技術について説明するThái先生(左から2人目)。