92. 抗生物質を減らし、付加価値の高いエビ養殖へ
本プロジェクトのモデル7「メコンデルタにおける気候変動と塩水遡上に適応した先進的かつ持続可能な水産養殖システムの開発」は、メコンデルタ地域にとって、さらにベトナムにとって重要なエビ養殖の持続的発展に資する研究を展開しています。今回は、水槽で大きくした稚エビを養殖池に移すタイミングで各種データを取るために、カマウ省にある試験養殖場にやってきました。ここでは、本ニュース第88号で紹介したソクチャン省ビンチャウ県のカントー大学実験サイトと同様に、閉鎖循環式複合養殖が行われています(写真1)。
エビ単独の養殖では水や底泥の環境悪化や病気の発生がしばしば深刻な問題となります。この試験養殖場では、これらの問題を抑えるためにエビ養殖区に特殊な濾材を用いた浄化区と魚や海藻の養殖区を連結させた複合的閉鎖循環システムを構築し、消毒薬や抗生物質を使わず多様な生物の総合的作用によって水質を維持しながら病気を防ぐ工夫をしています(写真2)。
この試験に協力頂いている養殖農家は、地元の技術普及員としても活躍し新技術にも熱心に取り組んでおられます。「抗生物質を使わずに育てたエビは高く売れる」と、経済性と安全性の両立を目指す生産モデルにも意欲的です。新しい技術の成功と今後の普及に期待が持てます。
関連参考プロジェクトニュース:
写真1 閉鎖循環式複合養殖施設に立てられているJICA研究モデルのプレート。
写真2 海藻の窒素除去効果を説明するモデル7リーダーのViet先生。