プロジェクト進捗(プロジェクト開始から約1年が経過)
JICA専門家がパプアニューギニア(以下、「PNG」)に着任後、『フィラリア対策プロジェクト フェーズ2』を開始して約1年が経過しました。プロジェクトのこれまでの経緯・概要と進捗は、以下のとおりです。
これまので経緯:本プロジェクトは、前案件として2018年10月~2023年2月(期間:4年4か月間)にかけてPNGを含む大洋州地域6か国にて『大洋州広域フィラリア対策プロジェクト』を実施しており、各国でリンパ系フィラリア症(以下、「LF」)(世界保健機構(以下、「WHO」)が指定する顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases、以下、「NTDs」)の一種)の対策である駆虫薬の集団投薬(Mass Drug Administration、以下、「MDA」)やMDA実施後の定点調査(Transmission Assessment Survey、以下、「TAS」)を実施するための計画策定や運営能力の強化、疾病管理のためのデータ管理システムの構築等を支援し、LF制圧に向けた対策強化を実施しました。PNGにおいては、西ニューブリテン州、東ニューブリテン州、ニューアイルランド州の3州を対象に活動を行い、ニューアイルランド州ではMDA4回目とTAS1回目の実施、東ニューブリテン州ではMDA1回目と2回目の実施、西ニューブリテン州ではMDA1回目の実施計画に協力しました。
フェーズ2では、対象国をPNGに主眼を置き、PNG国内の対象州を拡大してLF制圧対策を実施しています。対象州は前フェーズの対象州3州に加えて、マヌス州、東セピック州、西セピック州、ブーゲンビル自治州が新たに加わり、計7州になっています。プロジェクト実施期間は、2023年4月~2027年4月(期間:4年間)です。
日本側からは、チーフアドバイザー(感染症対策)及び業務調整員が長期派遣専門家として2024年4月~5月にかけてPNGに着任し、プロジェクトが始動しました。PNG側のカウンターパート機関は、PNG保健省ですが、各州保健局の関係者、WHOやパプアニューギニア医学研究所(PMG-IMR)等とも連携して、プロジェクトを推進しています。
進捗:プロジェクト進捗は、①フェーズ1実施中に計画した西ニューブリテン州でのMDA1回目の実施、②東ニューブリテン州でのMDA2回目実施後のIDAインパクト調査(過去のMDAで使用した3薬剤(イベルメクチン(Ivermectin)、ジエチルカルバマジン(Diethylcarbamazine)、アルベンダゾール(Albendazole))のそれぞれの頭文字を取って、IDAインパクト調査と呼ばれている)の実施、③東セピック州でのMDA1回目実施に向けた調査・準備になります。また、各州での活動と並行して、NTDs対策の戦略計画(National Strategic Plan)に関する調整も進めています。各活動に対するJICAからの主な協力内容は以下のとおりです。
西ニューブリテン州:MDA1回目を実施中
- MDAに使用する広報関連グッズ(フェーズ1時に一部調達済み)、国内輸送、保管・配送業務支援
- MDA広報支援(広報物の印刷及び輸送、SMS送信、ラジオ配信等)
- MDA実施前の州保健局ヘルスワーカー関係者に対する研修支援
- MDAの使用物品及び使用薬剤の国内輸送、保管、仕分・配送業務の支援
- MDA実施の連絡調整、機材供与(ラップトップ)、投薬の結果報告用のデータ管理と分析、モニタリング支援
東ニューブリテン州:IDAインパクト調査を実施中
- IDAインパクト調査の予算策定(マイクロプラン)支援
- IDAインパクト調査に使用する調査物品の調達、国内輸送、仕分・配送支援
- IDAインパクト調査に関与する州保健局ヘルスワーカー向けの研修支援
- IDAインパクト調査の実施、モニタリング支援
東セピック州:MDA1回目の実施に向けた各種準備
- MDA実施の予算策定(マイクロプラン)支援
これまでの進捗をJICAパプアニューギニア事務所のホームページで掲載(リンク参照)しています。
西ニューブリテン州、MDA1回目実施前の州保健局ヘルスワーカー向け研修(Training of Trainer)時の集合写真
東ニューブリテン州、IDAインパクト調査実施前の州保健局ヘルスワーカー向け研修時の集合写真