2019年7月31日
国際航業株式会社 常駐監理者
徳田 啓司
2019年7月19日にアップデートされたトンガ王国政府のホームページによれば、「7月10日にニュートーア地域で5基の風力発電所が完成して、トゥポウ国王6世陛下御夫妻の御臨席を賜り、オープニング・セレモニーが挙行された」と報じている。そして、「この自然再生エネルギーを利用した発電整備計画による経済効果は既存のディーゼル発電所の燃料費が年間150万TOP(Tonga pa’angaで約7,500万円に相当する)も節約できることになる」と伝えている。
在トンガ王国の石井哲也特命全権大使はスピーチで、「サイクロン対策の可倒式風力発電所(注)であり、高い位置でのメンテナンスが不要で安全、更にはタワー基礎には日本で進化したグランド永久アンカーを採択して不倒不変の基礎である」と日本の合わせ技を強調された。
(注)可倒式風力発電所:サイクロン襲来時に45分掛けて傾倒・通過後1時間で復帰する。
また、今年に入って本格化した現場の工事は各種のJIS規格やISO基準をクリアーする現場試験・検査を実施して品質管理を実施した。更にはトンガ電力公社との協議や定例会議・関係3省庁へ中間報告会を開催して親密なコミュニケーションを築くことに注力された。
今年5月下旬には風力発電機の建ち上げがあり、ヌクアロファにあるLiahona高校の生徒約80名が見学した。竣工式で除幕された記念碑には「『皇太子とその子供の扇子』と命名されたニュートーア風力発電所と蓄電・系統化安定施設は、寄贈してくれた日本の人々に感謝の意をこめて、2019年7月10日にトゥポウ6世国王により開所された」と刻まれている。最後に無事故無災害を達成した風力発電所整備プロジェクトは延べ約40名の日本人、約80名のトンガ人による混成チームで完成した。この風力発電所運用で進行する地球温暖化を減速させ、トンガの未来に明るい輝きをともし続けることを期待したい。