田中理事長がブルキナファソの協力現場を視察(教育、水衛生、水供給)

2013年3月13日

田中明彦JICA理事長は、3月10日、サブサハラ・アフリカ(注1)で6ヵ国目の訪問先となるブルキナファソに到着しました。

翌11日には、現在同国で実施中のJICA事業を視察しました。

小学校訪問

1)住民参加型の学校運営を目指している教育プロジェクトの視察では、ボリー・バリー国民教育・識字大臣と共に、首都ワガドゥグにある小学校を訪問しました。児童の保護者などから成る学校運営委員会のメンバーより、委員会の活動状況や子どもたちの学習環境の改善について説明を受けました。国民教育・識字大臣からは、「この協力を通じてブルキナファソと日本は家族になった」と歓迎の言葉がありました。これに対し、田中理事長は、未来を担う子どもたちの基礎教育の充実に向け、今後も継続的な支援を行っていく方針であることを伝えました。

パイロット農家での視察

2)続いて、首都ワガドゥグから北に約35キロメートル離れたジニアレへ移動し、水・衛生分野の二つのプロジェクトを視察しました。水が貴重なサヘル地域(注2)において、排水処理と再利用モデルの構築を目的とする科学技術協力のプロジェクトでは、パイロット農家を訪問し、コンポスト・トイレの利用状況と、雑排水を利用した作物栽培の様子を視察しました。乾期に当たる今の季節でも作物栽培が可能となれば、住民の生計向上が期待される取り組みであるだけに、厳しい自然環境に暮らす人々へ直接届く協力の重要性を再認識しました。

井戸の視察

3)同じくジニアレにおいて、給水施設の適切な維持管理を通じて、持続的な水の利用を目指すプロジェクトも訪問しました。井戸を水源とする村が多いブルキナファソでは、井戸ポンプの維持管理が水を確保する重要なポイントとなっています。プロジェクトで支援している水利用者組合から、維持管理の状況や工夫について説明を受け、村を回る行政官による指導と住民自身の努力で生活が改善されている状況を視察しました。

現場視察では、国際協力は一方通行なものではなく、国際協力を通じて国と国、人と人の友情を深め、共に学び、共により良い社会を築いていくことの重要性をブルキナファソの人々に訴えました。

12日には、コンパオレ大統領との間でサヘル地域情勢や6月に横浜で開催されるTICAD V(注3)に向けた会談を行います。また、西アフリカで重要なテーマとなっている地域統合の促進に向けて、西アフリカ経済通貨同盟(Union Economique et Monétaire Ouest Africaine :UEMOA)(注4)のスマレ総裁との会談を行うとともに、ブルキナファソにおける支援のあり方に関する、各国ドナーや国際機関との意見交換を予定しています。


(注1)サブサハラ・アフリカは、北アフリカ5ヵ国を除く48ヵ国の総称。その総面積は世界の18パーセント、また人口は約8億6,000万人で世界の12パーセントにも上るが、総GDPは2パーセントにも満たず、さらに南アフリカを除く47ヵ国では、1日1.25ドル以下で生活する貧困層が、総人口の50パーセントに当たる4億人といわれている。
(注2)大河の存在しないサヘル地域は降雨の減少等の自然の要因に加え、樹木の伐採、農業活動の影響から砂漠化が深刻な問題となっている。
(注3)Tokyo International Conference on African Development(アフリカ開発会議)の略で、アフリカの開発をテーマとする国際会議。1993年以降、日本政府が主導し、国連や国連開発計画(UNDP)、世界銀行等と共同で開催している。2013年6月には、横浜で5回目となるTICAD V(第5回アフリカ開発会議)を開催予定。
(注4)UEMOAは1994年に発足した西アフリカの8ヵ国(ギニアビサウ、コートジボワール、セネガル、トーゴ、ニジェール、ブルキナファソ、ベナン、マリ)が加盟する地域経済機構。ワガドゥグに本部を置き、域内の共通通貨セーファーフランを供給する中央銀行と、西アフリカ開発銀行を傘下に持っている。地域の経済統合を推進しており、国境を越えるインフラ整備への取り組みなども行っている。