【実施報告】吉備中央町教育研修所-JICA中国連携「教職員研修-国際理解教育とグローバル人材育成-」

2023.08.28

日時:2023年8月4日(金)13時30分から15時15分
参加者:吉備中央町内のこども園・幼稚園・小学校・中学校の教職員
主催:吉備中央町教育研修所
協力:JICA中国

岡山県吉備中央町では毎年、こども園・幼稚園・小学校・中学校の教職員の皆さんを対象に、校種を超えて様々な学びを深める研修を実施されています。今年はJICA中国が約120名を対象に「国際理解教育とグローバル人材育成」をテーマにした講座を講師と各所属校をオンラインでつなぐハイブリッド形式で実施しました。
同町の教育長のご挨拶のあと、岡山県JICAデスクの長谷川国際協力推進員は、画面の向こうにいる先生方に「私にとっての外国/海外とは?」と問いかけました。事前に配布されていたワークシートを用いて各自の考えを記入してもらい、それぞれ所属校で集合されている先生方同士で意見を共有していただきました。
続けて、現職教員特別参加制度を活用してJICA海外協力隊に派遣された倉敷市玉島西中学校の藤原葵教諭から、マダガスカルでの体験談をお話し頂きました。以前の自分が抱いていた開発途上国のイメージ、学生時代の海外でのボランティア経験を経てなぜ教員になろうと思ったか、現地での葛藤などを写真をまじえてお話し下さいました。中でも、日本人ということで物品や教具をねだられる日々の中、現地の元教員から「物がない状態でどうするかを教員と一緒に考えるのがあなたのミッションよ。」と言われ、糊の代わりにバナナを使い、高価なラミネートの代わりに段ボールとテープで壊れにくい掲示物を作成したことなど、具体的なエピソードを紹介してくれました。そして帰国して日本の学校に復職した今、自分が必要とされる場所は必ずある、世界はとても広いことを自己肯定感の低い日本の子どもたちに伝えたいと、真剣な面持ちで語ってくれました。

講座の後半で、長谷川推進員も自身の経験を紹介してくれました。岡山県の中学生だった頃は英語が嫌いだったこと、大学卒業後に海外で働いたことで日本の良さに気づいたこと、外国の人とコミュニケーションをはかるには日本のことを知る必要があると痛感したこと、そして私たちの暮らしは衣食住すべてで世界とつながっていることを様々な事例を通して話してくれました。
講座の最後に、長谷川推進員からの問いかけで先生方に考えて頂いたのは「地域でグローバル人材を育てることがなぜ重要なのか」「どんなグローバル人材を育てたいか」「そのために所属先はどんなアクションを起こすか」ということでした。頻繁に使われるようになったグローバル人材という言葉ですが、なぜ子どもたちにグローバルな視点を持ってほしいのか、そのために育むべき資質能力はどんなものなのかを明確にすることは、最も重要かつとても難しいことかもしれません。正解が一つではない問いを、先生方はそれぞれの校種、担当、立場から熱心に考えてくださいました。

藤原先生の体験談

長谷川推進員の講義

 学校現場が多様化し、課題が複雑化していく中で、教育機関ではないJICAが提供できることは決して多くないかもしれません。それでも私たちには、途上国の現場で現地の人とともに笑い、泣き、ときには衝突することで得られた気づきや学びがあります。その経験を地域で活かそうと奮闘している人材がたくさんいます。
JICA中国はこれからも、教育現場で活躍される先生方へのサポートを通じて、グローバルな視野を持った子どもたちの育成に貢献していきます。

■関連リンク:
JICA国際協力出前講座
JICA地球ひろば「先生・生徒のお役立ちサイト」

\SNSでシェア!/

  • X (Twitter)
  • linkedIn
一覧ページへ