農村開発アドバイザー(2021年~2023年)

グアテマラでのSHEP(市場志向型農業)の振興は2020年度の広域課題別研修に同国のMAGA(食料農牧省)職員4人が参加したことを契機として始まった。彼らが帰国後に研修を通じて策定したアクションプランの実践を開始し、同省職員らへSHEPを紹介した。同国でのSHEP振興に携わる専門家(農村開発アドバイザー)は2021年8月より活動を開始し、同年10月に現地業務を開始。これまでグアテマラから広域課題別研修に参加した元研修員は計12人に上る(2023年3月時点)。

同国ではCADER(注1)(農村開発のための学習センター)とPAE(注2)(学校給食プログラム)という2つの枠組みを中心にSHEPの振興が行われている。どちらにおいてもそれぞれ「プロモーター」と「登録出荷者」という生産者の代表がSHEPの研修を受け、自身が実践するとともに周りの生産者にも伝えることが期待されている。多くのCADERでは学校向けに野菜を販売するための支援も行われているため、プロモーターが登録出荷者となるケースも多い。そのため2つの枠組みが厳密に分けられるわけではない。いずれにしても彼らは学校向けだけではなくそのほかの市場に作物を販売する際にもSHEPを実践している。

2022年度からはラテンアメリカ全域でのSHEPニーズ増加に伴い、年1回だった広域課題別研修を「中南米向け」と「南米向け」に分け、年2回の研修がラテンアメリカで実施されるようになった。そして2023年1月に中南米向けの課題別研修が筑波で実施され、グアテマラにて現地補完研修の受入れを実施。今後、中南米地域においてグアテマラがSHEPのハブ国として展開していき、同国で得られた知見や成果を周辺諸国にも普及することが期待されている。

すでに同国での成功事例や生産者の声がいくつも報告されている。生産者の声はウェブサイトにもアップロードされているので、是非ご覧いただきたい。

(注1)Centro de Aprendizaje para Desarrollo Rural:農村開発のための学習センター。同国での農業普及はプロモーター(生産者リーダー:無給)を通じた間接方式で実施されている。CADERという生産者相互学習グループに参加したプロモーターは学んだことを近隣の生産者に伝えることが期待されている。MAGAの普及員はプロモーターの能力強化を図るが、一般生産者に直接技術指導を実施することは期待されていない。

(注2)Programa de Alimentación Escolar:PAEに法的に登録された登録出荷者は生産者リーダーとして他の生産者の作物を取りまとめて学校に販売する役割を担う。

SHEP(市場志向型農業)について知りたい方はこちら

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Felix、Cesar研修員によるMAGA普及員等へのSHEP研修の様子

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SHEP研修でのアクティビティーの様子

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SHEPを取り組んだ農家さん

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2022年度SHEP課題別研修の現地補完研修の様子